いまさら「建築学概論」
いまさらの話題だが、韓国映画「建築学概論」(2012年公開)を、ようやく見た。
建築学科に通う大学1年のスンミン(イ・ジェフン)と、同じ大学の音楽科1年の学生ソヨン(スジ)の二人をめぐる、初恋の物語。15年後、二人は建築家とその依頼人として再会するが、15年後のスンミンとソヨンを、オム・テウンとハン・ガインが演じている。
「初恋あるある映画」といった趣で、公開当時、韓国の男性たちの心をわしづかみにした映画である。曰く、「これは俺の映画だ!」と。すなわちこれは、
「韓国人男性による、韓国人男性のための映画」
である。
初恋の女性の「その後」を演じるハン・ガインは、韓国の青春映画「マルチュク青春通り」(2004年)で、クォン・サンウ演じる高校生の初恋の相手役を演じていたのが印象的だった。つまり韓国の男性にとってハン・ガインは「永遠の初恋相手」の象徴なのである。この映画がヒットした要因は、ハン・ガインの存在が大きい。
そういった点からも、ハン・ガインの相手役はオム・テウンではなく、クォン・サンウに演じてほしかった。
もう一点、韓国の恋愛映画らしいなあ、と思ったのは、スンミンがあこがれるソヨンの性格が、「猟奇的な彼女」そのものである、という点である。この点に、世の韓国人男性たちは、惹かれたのだろう。
つまり、「猟奇的な彼女」にハマった男性は、この映画にもハマる仕組みになっているのだ。
映画には、「初恋あるある」というべき小ネタにあふれていて、それが、世の男性に共感を与えている。
親友が、知ったかぶりをして食堂で間抜けな恋愛指南をする場面は、日本の男子が思春期にもれなく行っていた「ガスト会議」と通底する。
スンミンがソヨンと会うとき、めいっぱいおしゃれなトレーナーを着ていったつもりが、のちに「パチモン」のトレーナーであったことを知らされ、軽く死にたくなる場面もまた、「初恋あるある」の一つだが、これが後の場面で、世の男子の涙腺を緩める伏線となっているのは、描き方が実に上手い。
もともと恋愛映画をほとんど見ないのでよくわからないが、日本の昨今の恋愛映画には、こうした「ベタなあるあるネタ」でおなかいっぱいにさせてくれるような映画って、あるのだろうか?
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コメント
よい子の読者の皆さんは、もうお分かりかと思いますが、
鬼瓦さんがこの手の映画を見たということは、GYAOで無料公開されているということですからね。
明日2/1で配信終了なので、未見の方はぜひ。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00657/v09901/
もっとも、なぜかハン・ガインちゃん推しのようですが、
この映画で「国民の初恋」の称号が与えられるほど人気が出たのは、ハン・ガインちゃんの若い頃を演じた女性アイドルグループ「miss A」のペ・スジちゃんです。
コメディ番組「サタデーナイトライブ・コリア」だって、地図やヘッドホンのくだりやってるくらいだし。
https://youtu.be/jNAudMFFEcM
そんなスジも、昨年の映画「桃李花歌」では主役を張って、リュ・スンリョンと共演していますね。
http://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2033404
投稿: 案内こぶぎ | 2016年1月31日 (日) 22時03分
やっぱり「マルチュク青春通り」を見ていただけに、ハン・ガインのほうに思い入れが強くなってしまうんですよねえ。
投稿: onigawaragonzou | 2016年2月 1日 (月) 01時41分