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あの写真は何だったのか

2月4日(木)

ひどく伝わりにくい話。

Photo_2雪深いことで有名な北国の内陸の町に出張である。

出張先まで、町の中の観光スポットをめぐるバスに乗る。ふつうの路線バスよりも少し小さくて、レトロなデザインのバスである。

進行方向左側の一番前の席に座ると、あることに気づいた。

私のすぐ目の前には、乗客が乗り降りするための前方部のドアがある。

そのドアの上を見上げると、ふつうはポスターや注意書きが貼ってあったりするのだが、そこには、A3サイズくらいの、1枚の写真が貼ってあった。

その写真というのは、アラサーくらいの女性が、バスガイドらしき制服を着て、にっこりと笑っている写真である。

ちょうど、胸のあたりから上が写っていて、制服の胸元には、「○○バス I井」という名札がついていた。

このバス会社の女性社員のようだ。

最初は、バス会社のポスターなのかな、と思ってみたのだが、どうも様子がおかしい。

ポスターだったら、キャッチフレーズとか、会社名とか、そういったものがレイアウトされているはずだが、そういったものは一切なく、いってみればただのスナップ写真なのである。

写真についての説明も一切ない。

構図も、人物が少し左に寄っていて、とてもプロが撮った写真とは思えない。写っている人物も、プロのモデルさんではなく、本当にバス会社の社員であると思われる。

いってみれば、デジカメで撮ったバスガイドのスナップ写真を、A3の紙にプリントアウトして貼っている、といった感じなのである。

もう一つ、違和感があるのは、その人物の背景には何も写っておらず、たんに緑色なのである。

見れば見るほど、不気味に思えてきた。

いったいこの写真は、何でここに貼られているんだ?

いくつか可能性を考えてみた。

この写真は、ちょうど運転手が左を向いた目線の先に貼ってある。

ひとつは、このバスの運転手さんが、この女性のことが好きで、運転席から見える位置にこの写真を貼っているのではないか、という可能性。

…だとしたら、かなり気味が悪い。

あるいは、この写真の女性と運転手が夫婦なのか、とも思ってみたが、運転席に掲げてある運転手の名前を見ると、「I井」ではないので、夫婦関係ではない。

ほかに可能性はないものか…。

遺影?

まさかね。そうだとしたら、ますます気味が悪い。

しかし、そうしたことを連想させるような写真の雰囲気なのである。

それにしても、観光地をめぐるせいか、このバスはやたら自動音声による説明が多いなあ。

そこでハタと思いついた。

この自動音声を喋っている女性の声が、この写真の人なのではないか?

このバスには実際にはバスガイドがいないので、雰囲気だけでもバスガイドがいるという体(てい)で、ドアのところにバスガイドの写真を貼っているのではないだろうか?

もしそうだとしても、何の説明も書かれていないので、そのことに気づく人は誰もいないだろう。

それに自動音声の声は機械的で、写真の女性が喋っているものとは、とうてい思えない。

そんなことを考えているうちに、バスは目的地の停留所に着いた。

あの写真は、いったい何だったんだろう…?

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コメント

おはようございます。

「朝の明智歌謡曲」の時間です。

まずは、吹きだまらー世代には懐かしい一曲。

南野陽子で「はいからさんが通る」。 

リスナーの皆さんは、写真の謎が推理できたかな?

投稿: こぶぎラジオ | 2016年2月 5日 (金) 08時37分

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