風の便りに吹きだまりを
筒井康隆の小説に『残像に口紅を』というのがあって、以前に「前の前の職場」の元同僚だったKさんに勧められて読んだのだが、これがたいそう面白かった。
日本語の五十音の音が、1つずつ、しだいに小説の中から失われていくという内容で、筒井康隆の発想に舌を巻いたものである。
このブログでは、
「記事の中からしだいに固有名詞をなくしていくこと」
をめざしているのだが、言ってみればそれは、筒井康隆の『残像に口紅を』の顰みに倣っていると、いえなくもない。
たとえば、前回の記事には固有名詞が登場していないが、前々回の記事には、最後の最後で、固有名詞がうっかり登場してしまっている。
曰く、「TBSラジオ」「大沢悠里の『ゆうゆうワイド』」「伊集院光」である。
このブログの趣旨からすれば、本来はこれらも、固有名詞を使わずに表現しなければならないのである。最後の部分は、次のように書くべきなのだ。
「そんな折、30年続いた民放ラジオの朝のワイド番組がこの4月で終了し、「ラジオの神様」が勇退。後番組を、「私と同じ世代のカリスマラジオDJ」が担当する、というニュースに接した。
そうか、「私と同じ世代のカリスマラジオDJ」がついに後を引き受けるのか…。
そのニュースに接して、私はその先生からの仕事の依頼を引き受けることにした。」
そしてこの記事でも、「筒井康隆」という固有名詞をうっかり書いてしまったが、本来であれば、
「実験的な手法で数多くのコミカルでナンセンスな小説を発表している作家の小説に、日本語の五十音が1文字ずつこの世から消えてゆく、という小説があって…」
と書くべきかも知れない。
究極的には、「固有名詞のまったく出てこないブログ」をめざしたい。
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コメント
この国の首都の北隣にある県の県庁所在地にある屋根付きイベント会場で自転車に乗った翌週は、別の街に出張である。
東西方向へ開通した新しい地下鉄のせいで、しばらく訪れないうちに街並みも変化したようだ。
小難しい本が置いてあって座り読みのできる、創業者の父親の名前が店名の由来となった書店が閉店していたり、この国の首都の副都心近くにある地名のついたカメラ屋と名乗っているが、実は家電製品の店の裏側にある、2つの頂上という意味の英語が店名のコンピュータ店が統廃合したり。
あげくは、魚のすり身を練って丸くしたものを串に2つさして小麦粉の衣をつけて揚げた、まるでこの国に軍隊を駐留している国名に英語で犬という言葉を合わせた食べ物のようなものの売り場も新しくなっていた。
寒さの中、街を歩き回って、すっかり疲れ切って風邪気味になったが、自転車好きで有名なお笑い芸人の団長の奥さんが、豚肉と梅が疲労回復にはいいと話していたと、この国の首都の北隣にある県の屋根付きイベント施設で聞いたので、試してみると確かに元気になったので、お試しあれ。
テレビ番組といえば、売れない女性ライターが、イカシた顔面の男性と妄想しながら食事をするコメディードラマ番組の続編が始まった。これも面白いので、この国の角が生えた架空の生き物に、屋根を吹くための丸みをおびた粘土板の名前を合わせた名前の人も、見るといいと思う。
最後に、固有名詞を使わずに文章を書くと、このように回りくどくて無駄に長い文章になってしまうから、やめた方がいいと思う。
投稿: この国の隣の国の言葉で亀という意味の人 | 2016年2月17日 (水) 14時47分