クラウドアトラス教をひろめる
今回は、地下鉄駅名クイズ。
3月30日(水)
今日は都内で、2つの超大手出版社の編集者と打ち合わせである!
どれだけ超大手かというと、もし私が漫画家だったら、この2つの出版社の漫画雑誌に連載を持っていたとしたら紛れもなく超売れっ子漫画家と言われるだろう!というくらい超大手である!
…だが私の場合は、2つの出版社の仕事はどちらも超地味な仕事なので、おそらく日の目を見ることはない。
まあそれはともかく。
最初に打ち合わせの日時と場所を指定してきたのは、私が初めて仕事をするB社である。
「午後3時に、本社の会議室で打ち合わせをします。本社ビルは、地下鉄のX駅を降りてすぐのところです」
それからほどなくして、以前に仕事をしたことがあるA社の編集者の方から連絡が来た。
依頼された原稿がまったく書けていないので、業を煮やした編集者のKさんが、
「仕切り直しに一度お会いしましょう。都合のいい時間と場所はありますか?」
と聞いてきたのである。私は、
「30日の午後3時から、地下鉄のX駅付近で仕事がありますので、その前の時間だったら大丈夫です」
と返事を書いた。ライバル会社がある駅を待ち合わせ場所に指定するのは気が引けたが、こっちとしては2つの打ち合わせを1日に済ませてしまいたいので、やむを得ない。
するとA社のKさんから、
「では、午後1時にX駅で待ち合わせましょう」
と返信が来た。
さて今日の午後1時。
待ち合わせ場所であるX駅の6番出口で待っていたA社のKさんは、私に会うなり、
「午後3時から、B社でお仕事されるんでしょう?」
と聞いてきた。
「ええ、まあ…」と私。
「X駅付近で仕事がある、といったら、B社以外考えられませんからね」
やはり業界人だけにピンときたらしい。
「やっぱそうですよね…」私は少しばつが悪い。
「今日は編集長を連れてきました」とKさん。私の原稿が遅いものだから、編集長までがお出ましになったのである。初めてお会いする人である。
駅の近くのファミレスに入り、食事をしながら話をすることになった。
「今日は雑談ベースでいきましょう」
「雑談ベース」って何だ?初めて聞いた言葉である。
いま流行りの「ゼロベース」と同じようなものか?
とにかくその言葉通り、打ち合わせというよりは雑談に終始した。
あげくのはてには、気がついたら私が映画「クラウドアトラス」がいかに面白いか、という話を2人の前で延々としていた。
どんだけ俺は「クラウドアトラス」にとりつかれているんだ?
編集長も編集者のKさんも未見だったようで、「そんなに面白い映画だったら、今度ぜひ見てみます」と手帳にメモしていた。
俺は「クラウドアトラス教」の信者か?と、「クラウドアトラス」のおもしろさを布教している自分に我ながら呆れかえるばかりである。
しかし不思議なもので、雑談をしているうちに原稿の構想が固まり、
「『クラウドアトラス』みたいな手法で、4月中旬ごろまでに最初の原稿を書いてみます」
というワケのわからない意見表明をした。
「原稿の見通しがついたようで、何よりです」と編集者のKさん。
はたしてこれで「見通しがついた」と言えるかどうかは、疑問である。
午後3時前。A社との打ち合わせが終わり、次はB社へ向かったのであった。
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