« 不思議な贈り物 | トップページ | 目撃情報 »

友だちの友だちは、みな友だちか?

もう7年も前になるが、韓国に1年間留学することが決まったとき、韓国に知り合いがほとんどいなかったことが不安だった。とくに私が住むことになった町には、私が知っている人が誰もいなかった。

すると、何人かの方が、「その町に、私の知っている人がいる」といって、その人を紹介してくれた。

「とってもいい人だから、きっとすぐに友だちになれますよ」

だが今、そうやって紹介された人とは、誰ひとり友だちになっていない。

たとえば、こんなことがあった。

私が留学する大学の名前を聞いて、その当時の同僚が私に言った。

「その大学だったら、私の友人がいるよ!私が大学院生時代に、私の所属していた研究室に留学していた人なの!すっごくいい人だから、一度会ってみなさいよ!絶対にいい友だちになれるから!私が連絡してあげる!」

そしてその同僚は、「そうやって、人の輪って拡がっていくのねぇ」と、自分がさもよいことをしたような、遠い目をした。

私は内心、イヤな予感がした。いくらその同僚にとって、その人がいい人だったとしても、私にとっていい人だとはかぎらない。

さて、韓国に留学して2,3カ月たって、その同僚が紹介してくれた人と、一度食事をした。私と同世代の男性である。

たぶんその同僚はその人にも、「すっごくいい人で、絶対に話が合うと思うから!」といって私のことを紹介したのだろう。

会ったのはその一度きりで、それ以降会うことはなかった。

それもそのはずである。話題が全然ないんだもの。そもそも、専門分野が異なるので、何を話していいのかもわからない。

その同僚の目には、私もその友人も、同じように映っていたのだろうか。

だとしたら、人を見る目がないにもほどがある。

自分がウマが合う人間は、他人ともウマが合うと思っているのだろうか?だとしたらかなり短絡的である。

また、留学中にはこんなこともあった。

ある韓国人の同世代の知り合いから、「鬼瓦さんにどうしても会わせたい人がいるんです。僕が日頃から敬意を表している人で、お話も面白い。鬼瓦さんも、きっと話が合うと思いますよ」と言われた。

だがその人に会ってみたら、まあ、ひっどい人だった。

話していても、イライラするばかりで、全然面白くない。

その知り合いはなぜ、私と話が合うと思って、その人を紹介したのだろう?私は不思議でならなかった。

ひょっとしてその知り合いの目には、私もその人も、同じように映っているのだろうか?

だとしたら、人を見る目がないにもほどがある。

そもそも、これまで生きてきて、

「鬼瓦さんとその人、絶対にウマが合うと思うんです」

と紹介されて、その人と意気投合したためしがない。

ごくまれに、そういうパターンで友人になることがあるが、それは、あいだに立った人が、よっぽど人を見る目があったからである。

だがたいていの人間というのは、「人を見る目」がない。私も含めて、である。

そのことを肝に銘ずるべきである。

|

« 不思議な贈り物 | トップページ | 目撃情報 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 不思議な贈り物 | トップページ | 目撃情報 »