柱を見る人
3月4日(金)
またまた旅の空です!
以前、中島らもが、「灘高に入って一番よかったことは、本物の天才を間近で見られたこと」と言っていて、なるほどなと思った。
同じようなことだと思うが、お笑い芸人の水道橋博士が「お笑い男の星座」とか「芸人春秋」といった、「芸能人ルポルタージュ」を書いているが、彼自身が芸人というよりもルポライターとして、さまざまな芸人を観察しているということなのだろう。
そういう意味からすれば、私もまた同じである。
とくに職場が変わってから、この業界のさまざまな人にお会いすることが多くなった。いままで活字でしか知らない人や、お名前をよく聞くけれどお会いしたことのない人など、業界の有名人にお目に掛かる機会が増えた。
先日も、職場主催のイベントでそんな経験をした。いろいろなところでよく名前を聞いていて、一度お会いしたいと思っていた方が、パネラーとして参加していた。
その方は、私とは専門分野が異なり、当然私のことなどまったく知らないので、どこの馬の骨だろうという感じだと思うのだが、昼食の席で思い切って「ある話題」を出してお話ししてみると、実にエネルギッシュで、話しやすい方で、こちらが勝手に意気投合してしまった。
なるほど、いろいろな方面から頼られる人というのはこういう人をいうのだなと、あらためて実感したのである。
今回の旅もまた、同じである。
今回お会いする方は、その道のベテランというか重鎮の方で、活字の上でしか知らない方なのだが、ぜひ一度お話を聞いてみたいということで、旅先でお会いすることにしたのである。
活字の上の印象だと、エネルギッシュで、タフな方なのだろうな、と思っていたのだが、お会いした印象は、私が勝手に抱いていたイメージとはまったく違っていた。物静かで、冷静で、ほとんど感情を表に出されない方なのである。
寡黙そうな方なので、最初は、どのようにお話をしたらよいのか、はかりかねたが、少しずつお話しするにつれて、実はタフな方だ、ということがわかってくる。
かつて私が調査をした場所にご案内したのだが、ご専門にかかわるものに出会うと感動し、時間を忘れて観察に没頭する。その観察の仕方が、私にとっては勉強になるのだ。
夜の会食では、自分の思考の稚拙さに辟易したのだが、それでもその方は辛抱強く聞いてくださった。
別れ際、
「お会いして、お話しができてよかったです」
と言うと、
「私もですよ。活字の上でしか知らなかったあなたに、一度お目に掛かりたいと思っていました」
と言われ、恐縮した思いがした。
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