不思議な贈り物
3月6日(日)
午前から、職場主催のイベントに参加する。
韓国からパネラーとしてたくさんのお客さんが来ていた。先週韓国に行った時にお会いした方が多くいらっしゃったので、イベント直前に控え室に行って挨拶した。
ひとり、パネラーではない先生がいらしていた。このイベントを聴きに来るためだけに、わざわざ韓国からいらしたらしい。
その先生は、私よりも10歳年上のベテランの先生で、以前から、何度かお目に掛かり、ご挨拶をしたことがあった。ただ専門分野が異なるので、立ち入ったお話しまではしたことがない。
その先生は、私を見つけると、いろいろと話しかけてくださった。パネラーではないこともあり、イベントの打ち合わせをすることもないので、手持ちぶさただったようだ。韓国語がわかる人間の中で暇そうにしていたのが私だけだったので、格好の話し相手と思ったのだろう。
午前の部が終わり、お昼休みの時間も、私を見つけると、私に話しかけてくださった。
しばらくお話ししていると、その先生は思い立ったように私に言った。
「そうだ、君にソンムル(贈り物)をさしあげよう」
そうおっしゃると、カバンの中から、何かを取り出して、私に渡した。
私が不思議そうな顔をしていると、
「韓国のお酒だよ」
という。
「いいんですか?」
と聞くと、
「どうぞどうぞ」
というので、ありがたく受け取ることにした。
しかし不思議である。
今日、私がここに来ることは、その先生はまったく知らなかったはずである。それに、私にわざわざおみやげを渡すほど、親しい間柄というわけでもない。
つまり、私におみやげを用意するなどということは、念頭にも置いていなかったはずなのである。
では、この「韓国のお酒」というのは、そもそも何のために用意したものだったのか?
おみやげ用の袋に入っていたことから、誰かに渡すために準備しておいたおみやげであることは間違いない。
ということは、本来、私ではない「誰か」に渡すつもりのものだったのだろうか?
とすれば、私がこれをもらってよかったのだろうか?誰かに渡すはずのおみやげを、私が横取りしてしまっているのではないだろうか?
実は、似たような経験がこれまでに何度かあった。
韓国の知り合いの方が日本に来たときに、私と会うことなど予想もしていなかったはずなのに、おみやげをくれたりしたことが、これまでに何度かあったのである。
ここから、一つの仮説が浮かぶ。
私の場合、韓国に行くときは、「誰と誰に会うので、おみやげはその分だけ買っていく」というふうに、あらかじめシミュレーションをしておみやげの数を決めるのだが、韓国の方たちは、おみやげの数を適当に決めて買ってくるのではないだろうか。
で、そこでたまたま会った人に渡して、なくなり次第終了。
だから、持ってきたおみやげの中には、誰に渡すとかをとくに決めていないモノも含まれているのではないだろうか。
そう考えないと、とてもではないが、そのおみやげを受け取ることができないのだ。
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