ツイッターには向いてない
ある党首討論会で、司会をつとめた社会学者を自称する若い大学院生が、野党の党首である老練な政治家に対して、
「再婚相手は見つかったんですか?」
と執拗に質問してその政治家を怒らせたという。
これは、あらゆる意味でセクハラの本質が最もよくあらわれた出来事である。
「年上の男性」が「若い女性」に、「まだ結婚しないのか?」といった典型的でわっかりやすいセクハラ発言ではないけれども、本質的なところでは同じ発言である。
若い大学院生が、年齢が親子ほど離れている老練な政治家に対してセクハラ発言をするというのは、通常ではあり得ない状況である。
「年上の男性」が「年下の女性」に対して言ったのとは真逆で、「年下の男性」が「年上の男性」に対して言ったとしても、セクハラは十分に成立するのである。つまり、性別や年齢の上下というのは、セクハラの本質的要素ではないことがわかる。
そして不思議なことに、その司会者は、最弱の野党党首にのみセクハラ発言をして、たとえば与党党首に対して、
「お子さんはまだですか?」
とは絶対に質問しない。「司会」という優位な立場を利用して、その場で最弱な者を選んで非常識発言をおこなったのである。報復のリスクが最も小さい者は誰かというのを、司会の大学院生は巧妙に狙い撃ちしたわけである。
ここにセクハラの本質があると思う。
もうひとつ重要なのは、この司会者がとったセクハラ発言に対して、ほかの党首の誰も、いさめようとはしなかったことである。つまり目の前でおこなわれていたセクハラ発言を、黙認していたことになる。
加害者には、直接に発言した人間だけではなく、その周りにいてわかっていながら止めなかった人間も含まれるのだということが、よくわかる事例である。
…てなことを鬱状態の中でつらつらと考えていたのであるが、私が考えていたようなことを、コラムニストの小田嶋隆さんがすでに明快にツイートしていた。
「小沢さんに対して「怒るのは度量が小さい」みたいな言い方をしてる人たちは、自分がセクハラを訴える女子社員に「職場のセクハラはジョークでかわすぐらいの余裕で対処するのが大人の女」だとかいう腐ったアドバイスを浴びせかけるセカンドレイプオヤジと同じ言い方をしてるってことを自覚すべきだぞ」
140字以内で本質を言い当てる小田島さんは、さすが文章のプロである。
やっぱり俺はツイッターには向いてないな。
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