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続・出世する人

体調が悪いので、悪いことしか思い浮かばない。

昔の知り合いから、思い出したようにメールが来ることがある。

昔の仲間と食事会をしませんかというお誘いなのだが、僕自身、その人たちを仲間であると認識したことはなく、何より平日の昼間に都内でランチなどというのは、こちとら仕事が忙しくどだい無理な話であるので、メールが来るたびにお断りしていた。

今回は、ランチではなく、ディナーだというのでお誘いが来たが、あいにく提示された日は忙しく、やはりお断りしなければならない。

メールの最後には、

「せっかくなので○○さんや××さんにも声をかけてみようと思いますが、お二人ともお子さんがおられますから、夜は難しいかも知れません」

と書かれていた。私は○○さんも××さんも、全然親しくはないので、会ったところで話題がないし、たんにこの人が僕をダシに使ってこの二人と会う機会をつくりたいということなのだろうと即座に理解したが、そんなことより私が気になったのは、「お二人ともお子さんがおられますから、夜は難しいかも知れません」というくだりだった。

いやいや、アンタだって同じくらいの年齢のお子さんがいるけど、大丈夫なのかい?と。

○○さんも××さんも母親で、子育てのこともあるから、夜飲み歩くのは難しいだろう、とその人は判断したわけだが、同時に父親である自分が夜に飲み歩くことには、何の疑問も感じていないのである。

ジェンダー的に、かなり問題発言ではないか?

その人は、差別や偏見に対して理論武装をして抗おうというある任意団体の幹部を長らくしていて、いちおう僕も名前だけはその団体に加入していた。

僕は差別や偏見が大嫌いな人間なので、そうしたことについても関心があるわけなのだが、かといって僕は、その人と一緒に活動したいかというと、そんなことは全然なかった。なんとなく、その人に対して違和感を抱いていたからである。

そしてその違和感の理由が、メールの最後に、「お二人ともお子さんがおられますから、夜は難しいかも知れません」というジェンダーバイアス発言であることに、気づいたのである。

反差別:反偏見を高らかに唱える任意団体の幹部が、無邪気にジェンダーバイアス発言をしていることは、矛盾しているのではないか?もっといえば、その人は実は無邪気な家父長的権威主義者なのではないだろうか、と。

そう思う根拠は、ないわけではないのだが、ここでは省略する。とにかく、いままでのその人の言動を見ていると、なんとなくそんな感覚が見え隠れするのである。

だが、そんなことを考える僕の心がねじ曲がっている可能性は十分にある。なにしろ、反差別・反偏見をむねとする任意団体で長いこと幹部をつとめている人である。実際には誠実な人柄であるに違いないのである。

○○さんや××さんと、いまでもこまめに連絡を取り合う関係にあるということは、誠実な人柄であることの何よりの証拠である。

だから、「母親だから子育てに忙しくて、夜のお酒の席にお誘いできない(自分は父親だから参加できるけど)」という発言は、彼の誠実な人柄から出た言葉で、決してジェンダーバイアスが無意識に出た発言ではないのだと思いたい。

…うーむ。いかに体調が悪いとはいえ、話題が暗すぎる。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

本文記事が曇り空でも、コメント欄は、相変わらず旅の空なのです。

さて、

昨日の、チェーン店居酒屋の仮面をかぶった地物のおいしい店の街から、さらに北上する。

途中、かぼちゃ饅頭で有名な道の駅を見つけた。

実は以前も来たのであるが、その時は、饅頭は売り切れだったのだ。

しかし今回も、そう広くない店内を見回しても、肝心のかぼちゃ饅頭がない。

あるのは「ホヤぼーやマドレーヌ」だけである。

前日に「ほや観」がコペ転したとはいえ、こう、ほやばかり食べ続けるのも何なので、レジの人に聞いてみた。

「かぼちゃ饅頭は金・土・日の販売になります」

はるばる何度も足を運んでいるのに、どういうことだ!!!

と思った、この道の駅の名前は...

別にクイズにしなくても、よいこの読者の皆さんにはお分かりだろうから、出題しない。

何しろ、目的地はまだ先だ。こんなところで道草を食っている場合ではないのである。

工事車両で交通量が多い中、予定時間を大きく超えて目的地についたら、すぐにお昼になった。

シロウトさんは、この街に来たからには寿司やら海鮮やらに飛びつくものだが、こちとら事前に、この街出身の学生から聞き込みを済ませているのである。

ずばり、この街でおいしいのは、とある洋食屋のハンバーグなのである。

行ってみると、川沿いの小さな店だが、なるほど車がたくさん止まっていて、人気がありそうだ。

外観は名前通りのカジュアルなたたずまいで、昔ながらの学生街の喫茶店の雰囲気に似ている。

からんころーん。

鈴のついたドアを開けると、店の人と目が合うなり、「○○先生ですか」と本名を言い当てられた。

じ、実名がバレている。

初めて行った場所で、会ったこともない人から、いきなり実名を呼ばれたのは、生まれて2度目のことだったので、虚を突かれた。

「××の母です」

どうも、聞き込み相手の学生の親御さんらしい。

確かに、ここで働いているとは聞いていたが、なんと手回しのよいことだ。

なにしろ、面が割れているだけでなく、昨日か今日に来そうなことも、もう一つのおすすめラーメン屋にも立ち寄りそうなことも、こちらの所属先から担当科目名まで、

「お母さん、あなたも教室におられましたか?」

というくらい、こちらの情報を全部知っているのだ。

そして間髪入れずに「おすすめは日替わりランチです」と、ハンバーグの「ハ」の字も言いだす前に、注文を取られる。

洋食屋のカウンター越しに、短い「二者面談」を繰り広げた後は、お刺身がサービスで出てきたり、店のご主人が、わざわざ挨拶に来られたりと、まるで有名人が来店したかのような歓待ぶりである。

たぶん、常連客なのであろう。隣席のご婦人も、この光景を見て満面の笑顔である。

なんか、とても恥ずかしい。

しかし、さすが、おすすめだけあって、ナイフとフォークで切り分けるほど分厚い豚肉ソテーの日替わりランチは、品数もボリュームいっぱいで、おいしかった。

これで、コーヒーまでついて950円とは、お値打ちである。

午後の日程もあるので、お母さんから娘さんへのメッセージを預かって店を後にしたが、ここで問題。

どんなに体調が悪くても、ここでランチを食べれば多分ほっこりできる、肩ひじ張らないこの洋食屋さんの名前は、「かぼちゃ饅頭海岸」じゃなくて、「何海岸」?

投稿: こぶぎ放浪記 | 2016年6月 8日 (水) 19時28分

「西…?」

「なんじゃ唐突に、金田一さん」

「いえ、洋食屋さんの店名の答えですよ」

「そうか。君は『かぼちゃ饅頭』のヒントで、洋食屋のある町を決め打ちしたんじゃな」

「ええ。どうやら僕は思い違いをしていたようです」

「ひとつ前のクイズのことじゃろ」

「ええ。こぶぎさんによると、駅前にあるチェーン店の居酒屋で、立地にかかわる名前というヒントだったので、てっきりチェーン店の名前が『日本海』だと思って、日本海側のホヤの刺身が出そうな居酒屋を探したのです」

「ほう」

「こぶぎさんの勤務県の日本海側の町の駅前に、ちょうどピッタリのお店があったものですから、てっきりそこかなあと思ったのでした」

「なるほど。いかにも出張に出かけそうな町でもあるからのう」

「しかし、結果はまったく反対だった。考えてみたらホヤが有名なのは太平洋側ですからね」

「どうもそのようじゃな」

「で、あらためて考え直してみたんです。これは、僕が以前たどったことのあるルートなのではないか、と」

「金田一さんがたどったことのあるルート?」

「ええ。もしそうだとすれば、あの町しかありません」

「石ノ森先生の…?」

「ええ。北上して、『かぼちゃ饅頭で有名な道の駅』に着いたというわけですから、位置的にも矛盾はしません」

「なるほど。で、それにふさわしい店があったかな?」

「この町の駅前にはチェーン店の居酒屋がいくつかあるんですが、そのうちの一つに、町の名前を冠した店名を持つ居酒屋があるんです」

「『○○酒場』というやつじゃな?」

「そうです。おそらくそこが答えではないでしょうか。考えてみれば、ハンドルネームの『こぶぎ放浪記』は、『酒場』という答えを導き出すためのヒントだったんじゃないでしょうか」

「うーむ。そうか…。だがな、金田一さん。あんた何でも決め打ちする悪いクセがあるぞ。それに、考えすぎて的外れな答えをするクセもある」

「わかっております。だから今回も、自信がないんですよ、日和警部」

投稿: onigawaragonzou | 2016年6月 8日 (水) 23時06分

おーやおーや、鬼瓦さん大正解です。

「放浪記」の含意も、よく見破りましたね。

そう、居酒屋チェーンの名前は、その店の屋号の下に、小さく書いてあるんですね。

でも、海の幸が並ぶテーブル上に、なぜか場違いな「焼きそば」が載っているあたりで、その街のB級グルメに気付いてほしかったですねえ。

これまた、出汁(だし)の味が効いた細麺の焼きそばに半熟の目玉焼きが載っていて、あっさりした味でおいしかったですよ。

実は、テーブルには三角揚げと金華さばも載っていたんですが、さすがにこれらを書くと県名が特定されますから。

次の旅の空も、すぐにやってきそうですが、それはまた別のコメント欄で。

投稿: こぶぎ放浪記 | 2016年6月 9日 (木) 00時13分

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