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ズートピア

6月12日(日)

現在公開中のディズニー映画「ズートピア」を観た。

この映画のすばらしさについては、町山智浩さんやライムスター宇多丸さんの映画評に尽きているので、そちらを参照のこと。

差別や偏見やいじめといった問題に対する理想的な解答が、この映画の中にある。

私が最も印象的だったのは、「差別や偏見のない健全な社会を!」と、一点の曇りもなく思っている人の無邪気な発言が、差別される側の心を傷つける場合があることを思い知らされる場面である。誰もが被害者になり得るのと同様、誰もが加害者になり得ることを、この映画ではちゃんと描いている。

あと思ったのは、個人の作家性に頼らず、チームで作り上げた映画だな、ということ。たとえば日本のアニメ映画は、かなり個人の作家性に頼っているところがあると思うのだが、この映画は、何人もの人たちが知恵を絞り、議論を重ねて、ストーリーを練り直している、ということがよくわかる。だから間然するところがないのである。

社会に根強く存在する差別や偏見に対して強烈なメッセージを発している映画である一方、この映画のジャンルは、「ミステリー」「サスペンス」だという。なるほど、確かにこれは、上質のミステリー映画でもある。

この映画を観て、森村誠一の小説『野性の証明』を思い出したのは、たぶん世界でも私だけだろう。

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