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めざせ!ノーベル賞

鬼瓦亭権三(ごんざ)でございます。

権力者というのは、目立ちたがりでいけませんな。

どうもこのお方は、世界的な賞を受賞した先生が記者会見をしている真っ最中に、わざと電話をかけて祝福することがお好きなようで。

人が記者会見をしている時を見計らって、わざわざ電話をかけて祝福するなんてのは、大勢の記者たちがいる前でパフォーマンスができるから、一石二鳥とでも考えたんでしょう。

でも常識的に考えたら、取り込み中のときに電話をかけてくるわけですから、迷惑千万ですな。最高権力者だから、何でも許されると思っているのかね。

昨年受賞された先生なんぞは、記者会見の真っ最中に最高権力者から電話がかかってきたものだから、

「後でかけ直す」

と言ったそうです。さすがだねえどうも。

さてこのお方、今年もまた懲りずに、世界的な賞を受賞した方の記者会見の真っ最中に、電話をかけてきたそうですよ(実話)。

「もしもし」

「もしもし」

「あの、O先生ですか」

「はい、Oでございます」

「このたびはノーベル生理学・医学賞受賞、まことにおめでとうございます」

「ありがとうございます」

「あの、先生の研究の成果はがんやパーキンソン病など難病に苦しむ方々に光を与えたと思います。日本人として本当に誇りに思います」

「ありがとうございます」

「あの、先生はなんか常々、誰もやっていないことに挑戦するという風におっしゃっているそうでありますが、そうしたチャレンジする姿勢がですね、こうした受賞につながったのではないかと思いますが、後に進む若手研究者たちに大きな励みになると思いますが」

「はい」

「この研究は、先生は、19800年代に既に発見されたというふうにうかがっておりますが、あの、ノーベル賞を受賞されるというふうに自信をお持ちだったですか」

「すみません、ちょっと電話の調子が悪いみたいです」

「あ、そうですか。すみません。先生はこの発見を随分前にされているわけですが」

「はい、はい」

「この間、先生はいつか、ノーベル賞を、生理学・医学賞を受賞されるというふうに自信を持っておられました?」

「・・・」

「もしもし?」

「はい、はい」

「ちょっとつながりが悪いようですが、先生の受賞によってですね、日本人研究者、3年連続で受賞することになりましたが、日本がですね、生物学や医療をはじめ、イノベーションで世界を牽引して、世界に貢献できることを大変うれしく思います」

「はい。本当にありがとうございます」

「どうかこれからもですね、健康に気をつけていただきまして、ますますご活躍されますことを期待しております」

「どうもありがとうございました」

「本当におめでとうございました」

「はい。どうもありがとうございました」

「どうも失礼します」

…驚いたねえどうも。

この先生、「はい」と「ありがとうございます」しか言ってねえや。

最高権力者からの妙ちきりんな質問には、

「電波が、電波が…」

と、聞こえないふりをして答えなかった。

記者会見の途中で電話なんかかけてくんなよ!とはさすがにいえないから、それをどうにか体(てい)よく追い返したわけだ。なるほどうまいやりかただ。

こうなるともう、大喜利だね。

「もしあなたが世界的な賞を受賞して、記者会見の真っ最中に最高権力者から電話がかかってきたら、どうやってこの電話をあしらうか?」

この大喜利をやるためだけに、ノーベル賞を取りたいね、あたしは。

そして最後に言うんだ。

「ところであなた、どなたなんです?」

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コメント

「もしもし」

「もしもし」

「あの、O先生ですか」

「はい、Oでございます」

「このたびは特集ページの完成、まことにおめでとうございます」

「ありがとうございます」

「あの、先生の編集の成果は女性への言われなき偏見に苦しむ方々に光を与えたと思います。日本人として本当に誇りに思います」

「ありがとうございます」

「あの、先生はなんか常々、誰もやっていないことに挑戦するという風におっしゃっているそうでありますが、そうしたチャレンジする姿勢がですね、こうした編集方針につながったのではないかと思いますが、後に進む若手研究者たちに大きな励みになると思いますが」

「はい」

「この特集ページでは、先生は、穴が空いたコラム記事を代わりに書いたというふうにうかがっておりますが、あの、完璧に穴埋めできたというふうに自信をお持ちだったですか」

「すみません、ちょっと電話の調子が悪いみたいです」

「あ、そうですか。すみません。そのコラム記事は、明らかに他の原稿とは違う国のことが書いてあるわけですが」

「はい、はい」

「先生はもしや、このコラムが原稿の出なかったところだよと、知らしめようというふうに自信を持っておられました?」

「・・・」

「もしもし?」

「はい、はい」

「ちょっとつながりが悪いようですが、先生の巻頭の原稿がですね、ほとんどラジオ放送の引用で埋められているんですが、こちらをですね、穴埋めコラムに転用して、もっとまじめくさった巻頭記事にしなかったことを大変うれしく思います」

「はい。本当にありがとうございます」

「どうかこれからもですね、健康に気をつけていただきまして、ますますご活躍されますことを期待しております」

「どうもありがとうございました」

「あのう、記者会見中に電話して、お邪魔ではありませんでしたか」

「いえ、じぇんじぇんだーいじょうぶです」

投稿: お祝い電話こぶぎ | 2016年10月 6日 (木) 17時36分

お祝い電話、ありがとうございます(笑)。

ちゃんと書評になってるのがすごい。

投稿: onigawaragonzou | 2016年10月 7日 (金) 01時23分

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