アリランは身をたすく
11月25日(金)
公式行事の2日目は、記念シンポジウムである。といっても私は、ただお供として参加しているだけである。
昨日以来、中国から来たトウ先生とのコミュニケーションがとれないことが、悔しくて仕方がない。
英語も中国語も満足に喋れないのである。
心なしか、トウ先生も私を避けているように思えてきた。
(ああ、やっぱり俺は国際交流なんかに向いてない…)
どうして、ちょっとした英語すら、喋れないのだろう。自己嫌悪に陥るばかりである。
シンポジウムが終わり、夕方から晩餐である。
会食の席上で、あることに気がついた。
私のしている「勝負ネクタイ」と、中国から来たトウ先生の「勝負ネクタイ」が、全く同じネクタイだったのである!
ハングルが書かれた、青色のネクタイである。
どうやらトウ先生は、以前に韓国に来た時に、そのネクタイを買ったらしい。聞いてみると、買った場所も私と同じところであった。
「このネクタイに書かれたハングル、何が書いてあるかわかりますか?」主催者側の韓国の方が私たちに聞いた。
「さあ」
「アリランの歌の歌詞ですよ」
アリランとは、韓国の有名な民謡である。
「アリランですか!」
もちろん私は、アリランという歌を知っていたのだが、中国から来たトウ先生は、その歌のことを知らない様子だった。
「どんな歌なんです?せっかくだから覚えて帰りたい」と、トウ先生が言った。
主催者側の韓国の方が歌おうとしたので、すかさず私もそれに合わせて歌った。
「あ~りらん あ~りらん あ~ら~り~よ~
あ~りらん こ~げ~ろ~ の~もかんだ~」
すると、
「あなた、歌が上手いね」
と、トウ先生が英語で私に言った。
たったワンフレーズだったのだが、トウ先生には、私の歌がひどく上手に聞こえたらしい。会食中、何度も、
「あなた、歌が上手い」
と言われたのである。
そして会食が終わり、別れ際にトウ先生は私に言った。
「今度あなたが中国に来たら、一緒にアリランを歌いましょう」
トウ先生は、にこやかに私と握手をして、去って行った。
こうして2日間にわたる公式行事が、無事に終わったのであった。
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コメント
お疲れ様でした。
いつも大変な旅ばかりですが、
今回は特別だったでしょう。
成功裡に終わって、よかったです。
毎回欠かさず見ていますが、
「もうネタがない」と言わずに
ずっと続けてほしかった。
残念です。
でも忙しいだろうし、体も大事にしないと。
今までありがとうございました。
太川&蛭子さん。
あれ?
「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」へ出すメール、間違って出しちゃったかな?
投稿: ファンレターこぶぎ | 2016年11月28日 (月) 10時14分