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引きの強い人たち

11月3日(木)

世の中には不思議なこともあるものだ。

今回の旅で、行きたかった場所が一つあった。

ある雑誌にコラムを書いたのだが、行ったことのない場所について書いたので、機会があったらぜひ一度その場所を訪れなければならないと思っていた。

出張先でお世話になっているMさんに相談したところ、この機会に、その場所に車で連れて行ってくれるという。

その場所は、車で行かないとたどり着けないような山間部の渓谷で、私がいま滞在している町から、車で1時間半ほどかかるところにあった。私のような外国人が、おいそれと行けるような場所ではない。それが今回、Mさんの運転する車で、その場所を訪れることができたのである。

Photo駐車場から500メートルほど歩くと、眼前に、以前に写真で見た景色が広がった。

辺鄙な場所にあるので、当然、ここを訪れる人などほとんどいない。

初めて見る景色に感動しながら、1時間半ほどこの場所に滞在し、駐車場に戻ろうと、もと来た道を歩いていると、反対側から、一人の男性が歩いてきた。

見たことのある男性である。

「○○さん!」

私は思わず声を上げた。

「鬼瓦さん!」

その男性も、私を見て驚いた。

その男性は、私がその場所についてのコラムを書いたときに、その場所の写真を提供してくれた方だった。

私はこの場所についてのコラムを書いたとき、まだこの場所を訪れたことがなかったので、20年以上前にその場所を訪れたことがあるというその方に、そのとき撮った写真の提供をお願いしたのである。まだデジカメなどなかった時代の話である。

それにしても、交通が不便な、こんな山奥の渓谷で、知り合いにばったり会うなんてことがあるだろうか?

「驚きました。どうしてこちらへ?」私はその方にたずねた。

「あなたに写真をお貸ししてから、この場所のことが気になりましてね。いまどうなっているのかなあと思って、約20年ぶりに来てみたんです」

気になったからといって、ふと思い立っておいそれと再訪できるような場所でもない。

「お一人で、どうやって来たんです?」

「路線バスを乗り継いできました。以前に来たときのようにね。でもこの場所もだいぶ変わりましたねえ」

私よりも8歳ほど年上の方なのだが、学生のノリでこの場所に来たかのようである。

「こんなことってあるんでしょうか?」

「私もビックリしました。悪いことはできませんねえ」

私もまた、自分の書いたコラムのことが気になって、この場所に来たのである。

コラムを書いた人間と、そのコラムに写真を提供した人間が、同じタイミングでこの場所を訪れるという、なんとも奇妙な再会である。

「これが女性だったら、ドラマチックだったんでしょうけどね。おじさんどうしの再会というのがなんとも…」

「私たち、どうやらこれで運を使い果たしたようです」

引きの強い二人というべきなのだろう。

しばらくこのあたりを一緒に見学したあと、その方が言った。

「一つ、お願いしてもいいですか?」

「何でしょう?」

「山を下りたところの幹線道路まで、車に乗せてもらえませんか?」

「いいですよ。幹線道路などといわずに、せっかくだから駅とかバスターミナルまでお送りしますよ」

「いえ、山を下りたところの幹線道路で降ろしてもらえば結構です。あとは適当にバスに乗って移動しますから」

その方は、本当に山を下りたところの幹線道路にさしかかったところで、車を降りた。

「本当にここでいいんですか?」

「ええ、大丈夫です」

また路線バスを乗り継いでどこかに行くのだろうか。

「今度は日本でお目にかかりましょう」

「そうしましょう」

うらやましいほどの自由人である。

さて、私が訪れたその場所というのは…。

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コメント

便所の(A)みてーなコメントするたんび(B)、

簿記の問題さ作っていたら、時間が(C)じぇん足りねーべ。

大体、「引きが強い」って、それは、あんたがコラムさ書いたから(D)べ(E)。

書いた本人も、コラムさ読む。写真(F)撮ったご本人も、コラムさ(G)。

そんで、お互い来たくなっちゃっただけだべした。

それはおいても、こう毎日、場所あてクイズの解答用に仕訳問題ばかり考えてると、他に何にもできねーし、なしたらよかんべ。

んだ!

いちいち簿記の問題さ作んねくても、ふつうのコメント文章さ穴っこを開けて、そのまま問題にすればいいべ。

もっとも設問の都合上、コメントを方言で書くはめにはなったけんど、

AからGまで当てはまる文字を考えて、そのままダーっと並べてけろ。

投稿: 続・新傾向コメント(こぶぎ) | 2016年11月 6日 (日) 01時09分

涼風こぶぎです。

あっという間に今年も残り2ヶ月となりました。

ところで、みなさんはもう済ませました?

何って、ふ・る・さ・と・納税。

今年分の納税は12/31で〆切ですから、

人気自治体の謝礼品は、年末間際には売り切れてしまうこともあるようです。

お気をつけ遊ばせ。

どの自治体にふるさと納税するかは、人それぞれですけど、

涼風のオススメは、「旅する納税!」で決まり。

どうするかっていうとね、

旅行に行きたい街の謝礼品をお取り寄せして、旅行した気分になるんです。

ね、忙しい貴女には、ぴったりの選び方でしょ?

たとえば、茨城県笠間市にふるさと納税をするとね、

「カンジャン・ケジャン」(ワタリガニの醤油づけ)が頂けるんです。

日本の税金ですから、さすがに韓国の自治体へは払えませんが、

これなら韓国の川前の里に行ったも同然(ルンルン)。

ちなみにこのほかに、涼風が実際にお取り寄せした謝礼品はこちら。

・梅肉ポーク万能4.0kgセット(宮崎県都城市)

・奄美鶏飯ご長寿セット(鹿児島県奄美市)

・赤天色々・おつまみセット(島根県浜田市)

・リフト特別優待引換券(山形県山形市)

ほかにもアテモヤとか、ひやむぎ100人分とかも頂きましたが、やっぱり旅人の気持ちになるには、この4つかな。

だって、北から南まで全国各地を飛び回って、実際に訪れて回るなんて、時間もお金もかかって大変でしょ。

ふるさと納税なら、わざわざそこまで行かなくても、自宅で待っていれば届くのに、

実際に行く人の気がしれない。

一体、そんな方いるのかしら?

案外、身近にいたりして(笑)。


以上、涼風こぶぎでした。

ごきげんよう。

投稿: 旅するこぶぎ | 2016年11月10日 (木) 22時12分

こぶぎさん、またもや大正解です!

お取り寄せ謝礼品による旅の追体験、さらに北のほうの商品があるとよかったんですがねえ。

投稿: onigawaragonzou | 2016年11月13日 (日) 07時23分

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