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くたばれ!ポンチ絵

ちょっと話題がさかのぼる。

先々週くらいまで、この業界恒例の「申請書祭り」だった。

今年は私も申請書を書かなければならなかったので、悪戦苦闘した。

何人かの方に申請書の書き方について相談したりすると、中には

「申請書の中に、図がないとダメだ」

とアドバイスする人がいた。

「図、ですか?」

「そう、ポンチ絵」

私はこの、ポンチ絵、という言葉が大嫌いである。

最近は、何かというとすぐポンチ絵だ。

とくにえらいお役人さんは、何かというとすぐポンチ絵を描けという。

おまえの読解能力のなさを棚に上げてポンチ絵を描かせるのは、私に言わせれば怠慢以外の何物でもないと思うのだが、今の風潮は、「いいポンチ絵を描く人が仕事のできる人」ということになっているらしい。

アッタマに来たので、いっさいポンチ絵のない申請書を書いてやった。

申請書を最終提出する前に、2人の「有識者」に見てもらい、アドバイスをもらうことになっているのだが、2人の「有識者」はいずれも、

「とてもわかりやすい申請書です」

とコメントをくれて、ポンチ絵がないことについては、まったく気にならない様子だった。

ポンチ絵なんかなくったって、わかるやつにはわかるんだ、と安心した。

そうかと思うと、世間にはポンチ絵の好きな人もいる。

ある方から、作成した申請書を見せてもらった。

その方は、ポンチ絵を描くことがすごく得意な方で、申請書の至る所にポンチ絵が描かれていた。

「ほら、どうです?このポンチ絵なんてのは、最近の流行を取り入れたポンチ絵です。すごいでしょう」

「はあ」

たしかにそのポンチ絵はすごい。

だが問題は、そのポンチ絵が複雑すぎて意味がまったくわからないことである。

その方は得意になってポンチ絵を見せてくれたのだが、そのポンチ絵を見たところで、何が言いたいのかまったくわからないのだ。

結論。

ポンチ絵にしたところで、わからないものはわからない。

頭にスッと入る文章こそが、人の心を動かすのだ。

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