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著者近影

12月21日(水)

もうほとんど忘れられていると思うが、超大手出版社のウェブサイトで絶賛連載中のエッセイ!

その編集担当のKさんから連絡が来た。

「21日は打ち合わせを兼ねて、著者近影の写真撮影を行いますので、よろしくお願いします」

メールによれば、出版社専属のカメラマンにより、都心にある有名な公園で写真撮影をするという。

たしかに、いまのサイトに上がっている顔写真は、間に合わせに送ったスナップ写真がそのまま使われているので、いたく評判が悪い。

レイアウターの方のたっての希望で、プロのカメラマンによる著者近影の撮り直しをすることになったのである。

さて、どんな格好をしていったらいいのか、わからない。編集担当のKさんは、服装について何の指示も出してくれなかった。

(困ったなあ。着ていく服がない…)

結局、ふだん着ているジャケットを着ていくことにした。

午前10時半、超大手出版社に集合すると、編集担当のKさんのほかに、私のエッセイをレイアウトしてくださっているレイアウターの方と、出版社専属のカメラマンの方もいた。私ごときの素材に、3人がかりで撮影にのぞむというわけである。

(これはますます困った…)

出版社からタクシーで都心の公園に向かう。地下鉄で行ってもそれほど遠くないと思うのだが、さすが大手出版社は太っ腹である。

公園に着き、さっそくロケハン(ロケーション・ハンティング)がはじまる。

まずレイアウターの方と専属カメラマンがロケハンをして、撮影位置を決める。そしてその後、私がその場に立って、撮影するのである。

パシャパシャパシャパシャ!!!

望遠レンズ付きの一眼レフみたいなカメラで連写する。

「次はちょっと斜めに向いてください」

「わかりました」

パシャパシャパシャパシャ!!!

「では場所を変えましょう」

ふたたび、レイアウターとカメラマンがロケハンである。

「ではこちらにどうぞ」

「はい」

パシャパシャパシャパシャ!!!

「ちょっと太陽の光がアレですねえ」

カメラマンはそう言うと、ほら、よくプロのカメラマンが撮影するときに使う、布製の反射板みたいなヤツがあるでしょう。あれを広げだした。

「これを使いましょう」

「これ、何ですか?」

「レフ板というものです」

レフ板というのか。

カメラマンの横で、編集担当のKさんがレフ板を持って立っている。いよいよファッションモデルの写真撮影の様相を呈してきた。

パシャパシャパシャパシャ!!!

パシャパシャパシャパシャ!!!

パシャパシャパシャパシャ!!!

道行く人が、「何の撮影だ。有名人か?」

みたいな顔でこちらを見て、私の顔を見たとたん、

「誰だ、こいつ?」

みたいな顔をして去って行く。

めちゃくちゃ恥ずかしい!

「こちらの方を向いてください」

「今度は体はカメラの方を向けて、お顔は斜め上の方に向けてください」

「そこに手をかけて、何か観察しているような感じにしてください」

パシャパシャパシャパシャ!!!

パシャパシャパシャパシャ!!!

パシャパシャパシャパシャ!!!

これでもかこれでもかというくらいに、シャッターを押すカメラマン。

公園内の数カ所をまわり、1時間半ほどで撮影は終わった。

「何枚くらい撮ったんです?」

「100枚以上は撮りました」

「著者近影って、こんなにたくさん撮るものなのですか?」

「そうです。とくに外で撮影するときはふつうにこれくらいは撮ります」

100枚以上も写真を撮られたことは、生まれて初めてである。

ふだん写真を撮られ慣れていないので、ひどくぎこちないものになったと思う。

「ところで、なぜこの公園で撮影したんですか?」

「この公園は、撮影のための許可が要らないんですよ。ほかの公園だと、撮影許可を必要とするところもあって、面倒なのです」

なるほど、そういうことだったのか。

自分が写真のモデルになって公共の場で撮影されるというのは、めちゃくちゃ恥ずかしい。

ということで、まもなく、私の連載エッセイのページがリニューアルされる。

そのときに、都心のどこの公園で撮ったのかが、明らかになるだろう。

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コメント

僕も学生時代、実習の授業で銀レフ使いました(使われたのではない)。
まだカバー写真変わってないですね。きっと写真集企画のための撮影だったのだな。楽しみです(笑)。

投稿: ひょん | 2016年12月26日 (月) 13時59分

カバー写真は、レイアウターさんが時間をかけて作るそうです。たぶん年明けくらいでしょう。

投稿: onigawaragonzou | 2016年12月27日 (火) 00時57分

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