誤訳をして軽く死にたくなる
12月1日(木)~2日(金)
「光の国の姉妹都市」から帰った翌日、今度は職場で、2日間にわたるセミナーである。
このセミナーに、韓国からお客さんが2人来る。
2人とも私のよく知っている人で、Mさんは日本語がペラペラなのだが、Pさんは日本語が喋れない。
ということで2日間、私はPさんの通訳をすることになった。
初日の木曜日は、うちの職場の資料を熟覧しながら意見交換をする、という企画で、私はPさんの横にピタッとくっついて、資料を見ながら意見交換する様子を通訳した。もちろん私自身、勉強になったのだが、専門的な話が多すぎて、頭が痛くなった。
通訳の何が難しいと言って、日本人の方が勝手気ままに話す言葉を、通訳しなければならないことである。
あんまり込み入った話をグダグダ言っていると、
「そんな込み入った話、通訳できるわけねえだろ!」
と言いたくなる。
だいたい、語学をちゃんと勉強したことがないヤツほど、込み入った話をしたがるのだ!
まあそれはともかく。
夕方からの懇親会でも、引き続き通訳をした。
さて、次の日(金曜日)。朝9時半から5時まで、セミナーである。
この日は、Pさんが1時間ほど、参加者たちの前でプレゼンテーションをするのだが、その1時間のプレゼンの通訳も頼まれた。
幸い、Pさんの発表原稿をあらかじめ妻が翻訳しておいてくれたので、とくに破綻することなく終了した。
問題は、プレゼンのあとの討論である。
どんな意見が出てくるかわからない。日本人の質問を正確に韓国語訳し、Pさんの答えを正確に日本語訳しないと、間違った結論を導いてしまうことになる。
一つ、Pさんの発言について、大変が誤訳をしてしまった。
「王子が王に対して最初にすることは、○○を伝え、使臣たちの前に披露することである」
と訳したのだが、これがまったくの間違いだったことが、後でわかった。
正解は、
「王子が王になる時、最初にすることは、使臣たちと一緒に○○を決めることである」
だったのだ!
どうして私はこのような誤訳をしてしまったのか?
それは、Pさんの発言の中に出てきた、「정하다(決める)」を、てっきり「 전하다(伝える)」だと思ってしまったからである。
どちらも日本語的に言えば「ジョンハダ」と聞こえるのだが、この二つの発音の微妙な違いが、聞き取れなかったのだ。
私は「ジョンハダ」を、「전하다(伝える)」だと思い、そこから全体の日本語訳を組み立ててしまったのである!
…どうだい、なんだかサッパリわからないだろう。
ともかく、そのことに後になって気づき、私は軽く死にたくなったのである。
知識さえあれば、誤訳するなんてこともなかったのに…。
(軽々しく通訳なんて引き受けるんじゃなかった…)
自分の勉強不足をのろった。通訳って本当に難しい。
しかしまあなんとか乗り切り、セミナーは無事に終了した。
Pさんはとてもいい人で、私が通訳したことに対してひどく感謝してくれた。
2日目の懇親会が終わり、Pさんが言った。
「何から何までありがとうございます。とても充実した2日間でした。今度ソウルにいらした時は、必ず連絡してください。絶対にごちそうしますから」
「わかりました。必ず連絡します」
握手をして別れた。
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コメント
ゾフィーヨ。
チチハクルマデニジカンカケテエイガヲミテキタ。
フキカエバンヲミタモノノセイユウノコエガアワナイ。
ヒロインノコエハアマスギルシヒーローハコエガヨスギル。
ゾフィーヨ。
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ゴホンイントチガイスギルトハナシガミミニハイッテコナイモノダ。
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ゾフィーヨ。
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ゾフィーヨ。
サイゴニチチカラツウヤクスルトキニイチバンタイセツナコトヲデンジュシヨウ。
ココロシテキキナサイ。
オンナノコガダイジョウブトイエバダイジョウブジャナイ。
ナンデモナイハオオアリ。
モウシラナイハトテモキニキナルコト。
マゴコロヲコメテ、
チチヨリ。
投稿: 翻訳こぶぎ | 2016年12月 4日 (日) 00時49分