キリング・フィールド
1月10日(火)
世界情勢にからっきし疎い僕だが、そんな僕でも憂鬱なことばかりである。
ここ最近、1980年代後半に見た「重い内容の映画」3本を、もう一度見直してみたくなった。
ひとつは、アメリカの黒人差別を描いた「ミシシッピー・バーニング」(1987年)。
ここに描かれたアメリカの白人優位主義は、たぶん今でも脈々と生きていて、それが次期国家元首を生んだのだと思う。
そう思ってこの映画をあらためて見てみると、とても過去の出来事とは思えない。
もう1つは、南アフリカのアパルトヘイトを描いた「遠い夜明け」(1987年)。
いつだったか、この国のさる高名な作家が、アパルトヘイトを容認するような発言をしたことがあったが、たぶんこの映画を見たことがなかったのだろう。
そしてようやく見終えた最後の1本が、「キリング・フィールド」(1984年)である。
1970年代半ばのカンボジア内戦を取材したアメリカ人記者と現地の記者の絆をめぐる、実話をもとにした映画である。
映画の中では、クメール・ルージュによる恐怖支配の様子が描かれる。アメリカ人記者たちも、一時は命の危機にさらされる。
クメール・ルージュにより殺されそうになる場面は思わず息を飲むが、この場面を見ていて痛烈に思ったことは、「いま、世界を震撼させているあの集団は、クメール・ルージュとどこが違うのか?同じではないのか?」ということである。
時代は違っても、クメール・ルージュという殺戮集団が生まれてくる背景と、あの集団が生まれてくる背景には、通底するものがあるのではないだろうか。
そう考えると、40年前の出来事から、人類は何も学んでいない、ということになる。
だが私たちは、何度でも学ばなければならない。映画から。
だからこれは、今こそ見るべき映画なのである。
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