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拝啓大統領様

1月11日(水)

鬼瓦亭権三(ごんざ)でございます。

隣の国の大統領が、政権批判した芸能人を締め出すために、1万人あまりの芸能人をブラックリストに載せたというニュース、御覧になりました?

そのブラックリストの中には、韓国を代表する俳優、ソン・ガンホの名前も入っているというからもうビックリです。

このニュースを見たアタクシは、

「隣の国の大統領は、バカなんじゃないだろうか」

と、かわいそうになっちまいましたよ。

だって、そうじゃありませんか。

A0114028_49a42c956a44f_2ソン・ガンホの主演した映画に「大統領の理髪師」(2004年)という名作がありますでしょう?町で小さな理髪店を営んでいた男(ソン・ガンホ)が、ふとしたきっかけからパク・チョンヒ大統領おかかえの理髪師となり、韓国の現代史に残るようなさまざまな事件に巻きこまれながらも、たくましく生きていく、というストーリーですよ。

いってみれば、韓国版「フォレスト・ガンプ」でやんす。

映画の最後で、ソン・ガンホ演じる理髪師が、パク・チョンヒ大統領の不幸な死を、他の誰よりも悲しんでいた場面は、じーんときましたな。

彼は、散髪を通じて大統領と交流する中で、大統領を誰よりも尊敬し、忠誠を誓っていたってことが、この場面でわかるんですよ。

これはあーた、渥美清が主演した映画「拝啓天皇陛下様」(野村芳太郎監督、1963年公開)のモチーフにも通じるでしょう?

パク・チョンヒ大統領といったらあーた、今の大統領のお父さんでしょう?

隣の国の大統領は、そんな役を演じたソン・ガンホに対して感謝こそすべきなのに、恩を仇で返すとは、このことですな。

大統領は、映画をいままで見たことがないんじゃないだろうか?

あるいは、まったく感性がないかのどっちかです。

映画で思い出しましたが、この国の権力者が、元旦に映画を鑑賞したそうですよ。

ちょうどアタクシが、東京郊外のTOHOシネマズで「この世界の片隅に」を見ていたのと同時刻、その御仁は、都内のTOHOシネマズで、違う映画を見ていたんだそうです。

何を見ていたと思います?

そらあーた、「この世界の片隅に」とは真逆の、国策映画でがすよ。

ハリウッド女優を馬鹿にした次期国家元首といい、隣の国の国家元首といい、この国の権力者といい、映画の面白さを知らないってのは、本当に気の毒で気の毒で涙が出てきます。

自分が気に入らない者に対しては、大人げないほどに排除しようとするってのが、最近の世界の権力者のトレンドのようで。

アタクシもそのうち、排除されたりして。

「沈黙が生きる道」(映画「キリング・フィールド」の中のプランのセリフ)となる時代が、もうすでに来ているんですよ。

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