今日の空脳・好久不見編
ショックを受けたことがあると、先日、妻が言った。
「英語で、long time no seeという言い方があるでしょう」
「『ひさしぶり』?」
「そう。中国語では、『好久不見』っていうんだけど」
「好久不見(ハオジュープージェン)」
「そう。これって英語のニュアンスとまったく同じなんだよね」
「そうなの?」
「好は『very』という意味で、久は『long』、不見は『no see』でしょう」
「なるほど」
「で、むかし聞いたことがあるんだけど、『好久不見』という言葉は、ジャッキー・チェンが、long time no seeという英語をヒントに作り出した表現なんだって」
「マジで??!!」
「ところが、今日、英会話のラジオを聴いていたら、ショックを受けてね」
「どうして?」
「long time no seeという表現は、19世紀に、英語圏に移住した中国人が、『好久不見』を英語に直訳して使い始めたんだって」
「…ということは、もとが中国語で、それを直訳したのがlong time no seeってこと?」
「そう。だから、long time no seeはスラングなんだって」
「つまり、もとが英語でそれを中国語に直訳したんじゃなくて、もとは中国語で、それを英語に直訳したってことなんだね…で、それがまた、どうしてショックなことなの?」
「だって、今の今まで、『好久不見』はジャッキー・チェンが英語のlong time no seeから作り出した表現だって信じてきたんだよ。今、中国人がみんな普通に使っている『好久不見』が、あのジャッキー・チェンが作った表現だなんて、すごいと思わない?」
「アントニオ猪木が日本に初めてタバスコをもたらしたくらい、すごいこと?」
「その例えはよくわかんないけど、とにかく私の中では、ジャッキー・チェンを尊敬する理由の何割かは、このエピソードのおかげだったの」
妻は、自他ともに認めるジャッキーチェンファンなのだ。その理由の大きな一角が、ガラガラと崩れたのだから、よほどショックだったのだろう。
「じゃあさあ、ジャッキー・チェンがlong time no seeを『好久不見』と訳したっていう都市伝説は、いつどこで聞いたの?」
「それが覚えてないのよ。でもたしかにむかし、そんな話を聞いたのよ」
インターネットで検索してみても、ジャッキー・チェンと『好久不見』を結びつける話は出てこない。
ジャッキー・チェンがlong time no seeをヒントに『好久不見』という中国語を作り出したという都市伝説は、本当に存在したのだろうか?
あるいは妻の空脳だったのか?
さすがのこぶぎさんでも調べがつくまい。
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コメント
long time no see 可以用在信中吗?
http://www.zybang.com/question/88f35c5b9d4ef11032b9190c71e1766f.html
成龙首创“long time no see”吗
https://zhidao.baidu.com/question/97236542.html
维基百科 long time no see
https://zh.wikipedia.org/wiki/Long_time_no_see
Thirty-one years on the plains and in the mountains; or, The last voice from the plains. An authentic record of a life time of hunting, trapping, scouting and Indian fighting in the far West
by Drannan, William F., 1832-1913
https://archive.org/details/thirtyoneyearson00drann
の514ページ。
英書読んで探すのスゲー大変だったから、次のオフ会はおごりね。もしくは雪かきを代わりにしに来なさい。
投稿: インディアンこぶぎ | 2017年1月24日 (火) 10時12分
こぶぎさんありがとう。
雪かきは勘弁してほしいので、この次は必ずおごります。
投稿: onigawaragonzou | 2017年1月25日 (水) 01時25分