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似た者同士

1月10日(火)

鬼瓦亭権三(ごんざ)でございます。

ハリウッド映画を代表する女優が、ゴールデングローブ賞の授与式で、こんなスピーチをしたそうですな。

「ハリウッドにはよそ者と外国人で満ちあふれています。もしその人たちを排除してしまったら、あとはアメフトと総合格闘技(マーシャルアーツ)くらいしか見るものはなくなりますが、それは芸術(アーツ)ではありません。

こうした皆さんが私に3秒間くれたのは、次のことを言うためです。

役者の唯一の仕事は、自分たちと異なる人々の人生に入っていくことで、それはどんな感じなのかを見ている人に感じさせることです。まさにその役目を果たした力強い演技が、この1年もいっぱい、いっぱい、いっぱいありました。息をのむ、心のこもった仕事ばかりです。

しかし、この1年の間に、仰天させられた一つの演技がありました。私の心にはその「釣り針」が深く刺さったままです。

それがいい演技だったからではありません。いいところなど何ひとつありませんでした。なのに、それは効果的で、果たすべき役目を果たしました。想定された観衆を笑わせ、歯をむき出しにさせたのです。

我が国で最も尊敬される座に就こうとするその人物が、障害をもつリポーターの真似をした瞬間のことです。

特権、権力、抵抗する能力において彼がはるかに勝っている相手に対してです。心打ち砕かれる思いがしました。

その光景がまだ頭から離れません。映画ではなくて、現実の話だからです。

このような他者を侮辱する衝動が、公的な舞台に立つ者、権力者によって演じられるならば、人々の生活に浸透することになり、他の人も同じことをしていいということになってしまいます。

軽蔑は軽蔑を招き、暴力は暴力を呼びます。力ある者が他者をいじめるためにその立場を利用するとき、私たちはみな敗者となるのです。」

いやあ、周到に言葉を選んだ、じつにいいスピーチでございます。

さあ、これに対して、その国の次期国家元首が、真っ赤な顔して怒っちゃった。

なんと、ツイッターで、この女優に対してムキになって反論したんでがすよ。

「Meryl Streep, one of the most over-rated actresses in Hollywood, doesn't know me but attacked last night at the Golden Globes. She is a Hillary flunky who lost big. For the 100th time, I never "mocked" a disabled reporter (would never do that) but simply showed him "groveling" when he totally changed a 16 year old story that he had written in order to make me look bad. Just more very dishonest media!」

つまり、「俺はやってねえ」と。

権力者が、ツイッターなどのSNSで、自分に対する批判や自分の気に入らない発言に対して名指しでいちいちムキになって反論するなんて、ふつう、ありませんよねえ。

いや、そんな権力者のいる国なんて、世界中どこを探してもあるはずがありません。

え?身近にいるじゃないかって?

というか、この女優のスピーチでは、固有名詞をひとっつもあげていないのに、次期国家元首は、「俺のことだ!」とすぐにわかっちゃった。

やっぱり、思い当たるふしがあったんでしょうねえ。

人間、思い当たるふしがあると、ムキになって怒るものですからねえ。

やっぱり似た者同士なんですなあ。あの二人は。

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