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公用語は中国語・その2

2月14日(火)

「鼻うがいの先生」が主催する国際学術会議の当日。

朝、会場に行くと、

「お久しぶりです」

と、ある若者が近づいてきた。

「おおぉぉ!久しぶり!」

握手をしたが、名前が思い出せない。

しかし彼のことはよく覚えていた。

いまから8年前に留学したとき、留学先の大学院生だった人である。留学した当初、生活についていろいろと教えてもらったり、一緒にお酒を飲みに行ったりしていた。

「あの頃たしか、大学院生だったよね」

「ええ、修士課程でした」

「いまは?」

「中国のS大学で講師をやっています」

専門が中国史で、中国語が堪能だったから、中国の大学に就職できたのだろう。

「いまちょうど冬休みで、韓国に戻ってきたんです」

「なるほど」

留学した当初、私は韓国語がまったくできなかったので、彼とは意思疎通が全然とれなかったのだが、いまはこうしてふつうに話をしている。

「こんど西安にぜひ遊びに来てください。絶対に案内しますから」

「行ってみたいねえ」

専門分野が違うから、留学が終わったらもう二度と会うこともないんだろうな、と思っていたが、全然そんなことないんだな。

思わぬところで人は再会するものなのだ。

人生とは、これだから面白い。

次は西安で再会したい。

さて、国際学術会議である。

うすうす感じてはいたが、この会場でいわゆる日本人は私だけである。

日本語がわかる人も全然いないようだ。

発表者は、私以外すべて中国人。

参加している韓国人のほとんどは、専門家なので中国語が堪能である。

つまり、私だけが蚊帳の外なのだ。

中国人発表は、韓国語に翻訳されるのだが、それを聞いても、内容があまりに専門的すぎてまったくワカラナイ。

こうなるといったい何のために私がこの場に呼ばれたのか、わからなくなってきた。

私の発表は一番最後である。

(この場では、どうあがいても自分の意志は韓国語でしか伝えられない)

仕方がないので、韓国語で発表と討論にのぞむことになった。

ひどくしどろもどろになり、あまりの出来の悪さに軽く死にたくなったが、なんとか無事に国際学術会議が終わった。

今日も一つ、偏見がくつがえされた。

「中国人は時間を守る」

中国の方は全員、発表時間を守っていた。

いちばん守らなかったのは私である。7分ほどオーバーした。

1日目が終わり、晩餐である。

(今日こそは、酒を浴びるほど飲まされるのではないだろうか?)

と恐怖におののいたが、全然そんなことはなかった。

「弗二我」という変わった名前の店で、しゃぶしゃぶを食べた。

昨日と変わらず、中国の方々は気さくで陽気で、楽しい時間を過ごした。

何より恐いのは、明日の総合討論である。

どんな質問が出てくるかわからない。聞かれたことに対してアドリブで答えなければならない。

絶対に無理だな。

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