映画版「あの空にも悲しみが」
2月3日(金)
韓国映画「あの空にも悲しみが」(1965年)を見る機会を得た。
『あの空にも悲しみが』は、私がこれまで読んだ本の中で、最も悲しい物語である。別名『ユンボギの日記』。
極貧の少年イ・ユンボクが、1963年6月から1964年1月まで記した日記である。この日記の内容があまりにも悲しく、そしてあまりにも前向きな内容であったことに、ユンボギの通っていた学校の先生が感動し、1964年に書籍として刊行され、ベストセラーになったのである。
この本はすぐに日本でも翻訳された。戦後、日本人の手により最初に日本語訳された朝鮮文学が、この本である。
この本については、以前、このブログにも書いたことがある。
ウィキペディアによれば、この本が韓国で3度映画化されたそうであるが、私が見たのは、1965年版なので、おそらく最初に映画化された作品だろうと思う。
韓国には映像が残っておらず、台湾の映像資料院というところに、台湾上映時のフィルムが残っていて、それをデジタル化したそうである。
たぶん、日本でこの映画を見たのは、私を含め、数人なんじゃないだろうか?
実際に映画を見てみると、原作にほぼ忠実に作られており、本と同様、涙なくしては見られない。
何より子役の演技がすばらしい。韓国映画や韓国ドラマは、いまでも子役の演技がすばらしいが、昔からの伝統だったんだな。
それにしても驚きなのは、当時小学校4年生だったユンボギが日記を書いたのが、1963年。その日記が出版されたのが、1964年。そしてそれが映画化されたのが1965年だということである。
何というスピードだ!このとき原作者のユンボギは、まだ小学校6年生だぞ。
ユンボギが実際に体験したあの一連の悲しい出来事が、わずか2年後に忠実に映画化されているのだ。
しかも、ユンボギとほぼ同年代の子役によって、である。
この映画を、イ・ユンボク自身は、見たのだろうか?
見たとしたら、どんな気持ちだっただろうか?
なんとも複雑な思いである。
ちなみに、この作品を大島渚監督も1965年に映画化したことがある。
以前見たことがあるが、静止画のモノクロ写真に小松方正がナレーションをつけただけのもので、かなり前衛的な作品だなあと思った記憶がある。
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