ボンゴロウシゲッチマン
2月23日(木)
「ボンゴロウシゲッチマン」といっても、ガッチャマンの親戚ではない。
「申し訳ありませんが」という意味の韓国語である。
先月末のうちの職場のイベントに来ていただいたクォンさんから、
「職場に出張報告書を提出しなければなりませんので、参加したという証拠にイベントのときの写真を送ってください」
とメールが来たので、私が自分のスマホで撮ったイベント時の写真をお送りしたところ、
「ボンゴロウシゲッチマン(申し訳ありませんが)、出張報告に提出する写真はもっと多い方がいいので、もう少し写真を送ってくれませんか?」
と再びメールが来た。
私が撮った写真は間に合わせのものしかなかったので、そのイベントで事務担当をしていた、20代半ばの若手職員のI君が写真を撮っていたことを思い出し、I君に、
「先月末のイベントのときの写真をクォンさんに送りたいので、そのときに撮った写真をください」
と頼んだ。
I君から写真を何枚かもらったが、私が撮った写真と似たり寄ったりのものばかりで、あまり変わりばえがしないと思ったが、仕方がないと思い、とりあえずI君が撮った写真のうちの何枚かを、追加でクォンさんに送った。
すると昨日、またメールが来た。
「ボンゴロウシゲッチマン」という書き出しだったので、
(やっぱりあの写真では不十分だったのかな?)
と思い、メールを読み進めてみると、
「日本に来たときの飛行機の半券をスキャンしてその画像をおくってください。後処理で必要なので」
と書いてあった。
今度は飛行機の半券か…。
先月末のイベントの旅費はうちの職場が負担しているので、クォンさんが韓国から日本に来たときの飛行機のチケットは、うちの職場に提出してもらっていた。したがってクォンさんの手もとにはないから、韓国→日本の飛行機の半券をスキャンして送ってくれということなのだろうと、私は理解した。
(それにしてもおかしい。旅費を負担しているのはこっちなんだから、飛行機の半券をクォンさんの職場に提出する義務はないはずなんだがな…。ずいぶん出張報告書は細かいところまで要求してくるんだな…)
しかし先方がそう言ってきたのだから仕方がない。クォンさんの飛行機の半券は、たしか若手職員のI君が受け取ったはずだから、再び私はI君にメールを送った。
「クォンさんから、1月27日に日本に来たさいの飛行機の半券をスキャンしたもの(すでにこちらに提出済みのものです)を送ってほしいとのことでした。ご自身の職場に提出する必要があるようです。なかなかご面倒をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします」
早めに送ったほうがいいだろうと思い、私はI君に急いでこのメールを送ったのである。
ホッとひと息ついて、送られてきたハングルのメールをあらためて見て、驚愕した。
このメールの差出人はクォンさんではない!
「鼻うがいの先生」だ!
もう一度、ハングルのメールを読み直す。
「ボンゴロウシゲッチマン(申し訳ありませんが)、日本に帰られたさいの飛行機の半券をスキャンして送ってください。後処理で必要ですので」
先週、私が「鼻うがいの先生」主催の国際学術会議に招かれて出張したときの、帰りの飛行機の半券のことを言っていたのだ!
それであればつじつまが合う。そのときの旅費は、「鼻うがいの先生」のほうで負担していたのだから、当然、飛行機の半券は「鼻うがいの先生」に提出しなければならないのだ。
いずれにしてもこのメールは、クォンさんとはまったく無関係のメールである。
にもかかわらず私は、このメールをクォンさんから来たものと思い込み、クォンさんの提出した飛行機の半券をスキャンして送るようにと、I君にトンチンカンな指示をしてしまったのである。
ここまでの話、わかりにくいかな?
どうして私は、このメールの差出人をクォンさんだと思い込んでしまったのか?
それはこのメールが「ボンゴロウシゲッチマン」からはじまっていたためである。
クォンさんが以前に送ってきたメールと、書き出しがまったく同じだったため、てっきりクォンさんからのメールだと思い込んでしまったのだ。
だが、「ボンゴロウシゲッチマン」は、何かを依頼するときの常套表現なのである。
さて、I君にトンチンカンな指示を出してしまったので、訂正しなければならない。私はすぐにI君にメールを書いた。
「すみません!訂正です。
先ほど送ったメールはクォンさんからのものではなく、別の方から、私の先日の韓国出張に際しての飛行機の半券をスキャンして送れという内容のメールでした。メールの表現がクォンさんのものと似ていたので差出人をちゃんと見ずに早とちりしてしまいました。ですので先のメールは破棄してください。すみません。
だいぶ疲れているようです」
さて、今日。
朝、職場に行くと、自分のメールボックスに小さな封筒が入っていた。
中を開けると、ティーバッグのお茶がいくつか入っていた。
それと一緒に、メッセージが入っていた。
「お口に合うかどうかわかりませんが、これを飲んでどうぞご自愛ください」
I君の名前が書いてあった。
若手職員のI君が、見かねてお茶のティーバッグを私にくれたのである。
よっぽど私のポンコツぶりを憐れと思ったのだろう。
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コメント
×ティーパック
○ティーバッグ
投稿: ひょん | 2017年2月24日 (金) 11時41分
眠いのを我慢しながら書いたので、間違ってしまいました。やはりポンコツです(笑)。
投稿: onigawaragonzou | 2017年2月24日 (金) 22時35分
× すみません!訂正です
○ ボンゴロウシゲッチマン!訂正です
と、I君にも間違って全文ハングルでメールを出してしまったことにすれば、それまでのネタ振りやその後のオチが活きてくるのではないでしょうか。
それにしても、リアル・ミセンみたいな話ですな。
(おまけ)
http://portal.nifty.com/kiji/130716161167_1.htm
投稿: 訂正こぶぎ | 2017年2月25日 (土) 23時07分