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天知茂「ウルトラの父」説

4月10日(月)

毎日、1日があっという間に終わる。

めちゃくちゃ忙しいので、誰にもわからない話を書く。

現実逃避でドラマ「森村誠一シリーズ 野性の証明」(1979年、林隆三主演)を見た。

先日、ドラマ「森村誠一シリーズ 人間の証明」を全13回見てしまったことで、「昔のドラマ」熱に火がつき、今度は「野性の証明」を見ることにしたのである。こちらも全13回。

何度も見返しているドラマだが、好きなドラマは、つい、くり返し見てしまう。

やはり「人間の証明」とくらべると、ちょっと脚本が弱いかなあ、と思う。無理やり13回に話を伸ばしてしまっている観がある。それに、ご都合主義的な展開が目立つ。そう考えると、やはり「人間の証明」の脚本を書いた早坂暁はすばらしかったのだ。

それでも、荒唐無稽な展開にしてしまった映画「野性の証明」よりははるかに完成度は高い。

ではドラマ版は原作に忠実なのかといえば、全然そうではない。映画版もドラマ版も、原作とはまったく異なる作品となっている。

このドラマでは、たたき上げの刑事役の小池朝雄が、実にいい味を出している

というか、小池朝雄は、刑事コロンボそのものである。

たとえば、小池演じる村長刑事に対して、味沢(林隆三)がついに自分の罪を告白する場面。

味沢が罪を告白した後、村長刑事は味沢を見つめ、味沢にこう言う。

「あたしはねえ。商売柄、いろんな人間の、いろんな顔を見てきているが、罪を犯した人間が自白をしたときの顔ほど美しいものはないと思ってるよ。」

しばらくの沈黙の後、

「さてと…、自白だけでは証拠にならんのだよ。目撃者の証言がないとね。ところがその目撃者が記憶をなくしちまったときている…。ままならないもんだ」

そう言って煙草に火をつける。

文章では伝わりにくいが、この場面の小池のセリフ回しは、完全にコロンボである。

…いや、今回書きたいのは、小池朝雄の話ではない。

全13回のうちの,第10回に一度だけ登場する、天知茂の話である!

ドラマ「野性の証明」は、主人公の味沢岳史(林隆三)が、羽代市(架空の町)を牛耳る大場一族に一人で戦いに挑む、というストーリーである。

大場一族は、反対派を次々と粛正し、さらには中央政官界ともつながり、羽代市で大きな権力を握っている。誰も逆らえないような強大な権力を手にするのである。

味沢は大場一族の不正を暴こうと奮闘するが、かえって大場一族の罠にはまり、身に覚えのない罪を着せられてしまう。なにしろ、相手はこの町の最高権力者、大場一族なのだ。

大場一族の仮面を何度となく剥がそうとしても、それが権力により隠蔽されてしまうのだ。

もはや味沢も万事休すか??

さて、そこにあらわれたのが、天知茂である!

天知茂は、東京地検特捜部の検事として羽代市にやって来て、大場一族の悪事を次々と露見させてゆくのである。

いよっ!待ってました!

大場一族に追い詰められてピンチになった味沢を、天知茂が助けに来たのだ!

そのたたずまいはまるで、M78星雲から駆けつけた「ウルトラの父」のごとくである。

たしか天知茂は、同じ時間帯のドラマ「高木彬光シリーズ 白昼の死角」でも検事役で出演していた。

天知茂は、ほとんどそのたたずまいのみで、敵の悪事を露見させ、懲らしめてしまう。

これこそが、天知茂の真骨頂なのだ。「明智小五郎シリーズ」しかり、である。

ドラマの中で、天知茂が言う。

「味沢君、聞くところによると、あんた、大場を敵にまわして闘っているそうだな。たとえどんなに死力を尽くしても、巨大な悪の牙城を切り崩すことはできまい。たった一人の力では…。私はそれを悟ったときから、この職業を選んだ。しかしそれでもなお、巨大な悪は裁けん場合が多い。だからこそ私は死力を尽くしても闘わなきゃならんと思ってる。」

心を閉ざしていた味沢は、次第に検事に心を開いていく。

このあたり、実にかっこいいねえ。

天知茂みたいな検事、どこかにいないもんかねえ。

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