あなたにとって○○とは?
4月12日(水)
日本で最も有名な女子フィギュアスケートの選手が引退会見を行った、というニュースが、今日のトップニュースだった。
国内外がこんなに大変な状況なのに、トップニュースがこれかよ!という怒りはさておき、ですよ。
集まった記者たちの質問を聞いて呆れてしまった。
記者「○○さんにとってフィギュアスケート、あらためていま振り返ってみてどんな存在ですか?」
いつも思うのだが、道を究めた人に対して、「あなたにとって○○とは?」と質問することに、何の意味があるのだ?
いったいどう答えればいいのだ?
まったくの愚問である、と、この質問を聞くたびに、いつも思う。
さて、その選手はどんなふうに答えたのか?
選手「存在……。どんな存在ですかね。難しいですけど(笑)。一言で言うとやはり人生かなというふうに思います。」
それはそうだろう、と思う。「スケートは私の人生」という答え以外に、その場の記者たちを満足させる答えがどこにあるというのだ?国民的スターを期待されているその選手にとってみても、そう答える以外に、その場をおさめる答えは存在しなかったのだ。
そしてその答えを引き出したことを手柄とばかりに、
「スケートは人生」
と見出しをつける記者の「やっつけ仕事」ぶりには、ほとほと呆れてしまう。
むかし、ダウンタウンの浜田が、
「浜田さんにとって、相方の松本さんはどのような存在ですか?」
という記者の質問に対して、
「金づるです」
と答えたのには笑った。たぶんほとんどの場合、この答えが真実なのだと思う。
そんなことを考えていたら、面白いインタビュー記事を見つけた。
ある「ウナギ博士」のインタビュー記事である。
インタビューの最後は、お決まりの「あの」質問だった。
「時間がオーバーしてしまって恐縮なのですが、最後の質問です。○○先生にとってウナギとはなんでしょうか?」
出た!「道を究めた人」に対して、最後に必ずする質問である!
さて、もし私が「ウナギ博士」だったとしたら、何と答えるか?
「いろんな意味でメシの種です」
と答えるだろう。
しかしその「ウナギ博士」の答えは,違っていた。
以下、そのやりとりを引用しよう。
「時間がオーバーしてしまって恐縮なのですが、最後の質問です。○○先生にとってウナギとはなんでしょうか?」
「なんですかねえ……それは難しいですね。いや、ウナギはウナギ以外の何者でもないような気がするんですけど……うーん。」
「(笑)」
「なんていうのかな……。いや、別にウナギがいなくなったらいなくなったで構わないんです。絶滅したっていいって思ってますし」
「えっ?」
「いや、絶滅させろってことじゃないですよ。でも、すべての生き物は絶滅の可能性から逃れることはできないじゃないですか」
「はい、絶滅することもありますよね」
「たとえ人の手が加わらなくても、地球上から消えていった生物は数知れません。例えば今回のウナギの減少でも、もしかしたら進化的な歴史の中で、もうウナギというのは滅びゆく生き物であるという可能性もあるわけですから」
「でも、たった数年で絶滅しちゃうなんて変ですよね」
「もちろん人間が絶滅を後押ししているわけですが。話を戻すと、私にとってウナギはウナギであって、もちろんすごく面白いんですけど、常に「他にもっとおもしろいことあるんじゃないか」って考えているんですよ。そういう意味では、ウナギの研究は、今はとてもおもしろい。けれども、唯一無二の特別な存在ではない。おもしろいものの一つであって、世の中にはまだまだいっぱいおもしろいものがありますし」
「じゃあ、ウナギよりおもしろいものが現れたら、そっちに行っちゃうかもしれない…」
「行きます行きます!思い切り行っちゃいます!でももう結構長い期間、大学院生から考えたら20年、ウナギが一番面白いんですけどね。でもやっぱり、きっとありますよね。世の中絶対もっとおもしろいもの」
「あるかもしれないですね」
「いやいや、おもしろいことだらけだと思いますよ」
「あなたにとって○○とは」という愚問に対する答えとしては、実に学者らしい答えだと思う。
その道を究めた人に聞いた「あなたにとって○○とは」という質問とそれに対する答えを集めたら、面白いかも知れない。
そんな名回答、珍回答を見つけたらどしどしお寄せください。
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コメント
名解答かわかりませんが、こんなの覚えてます。
アナウンサー「では最後に、(力を込めて)中山さんにとって、ワールドカップとはなんでしょうか??」
中山ゴン「(ほんの一瞬、間をとって)世界大会ですね」
工夫のない質問をキラーパスに変えた、いいボケでした。
投稿: ひょん | 2017年4月13日 (木) 10時47分
三波伸介「ゴンちゃんらしくっていいや(笑)。おーい!1枚持ってきてくれ!」
松崎真「へーい」
投稿: onigawaragonzou | 2017年4月13日 (木) 11時01分
昇太「なつかしの大喜利傑作選をお楽しみ頂いた後は、サンドウィッチマンのお二人で「グルメレポーター」です。どうぞ。」
投稿: こぶぎ点 | 2017年4月13日 (木) 23時49分