ラジオの神様
5月24日(水)
僕にとって「サックスの神様」が渡辺貞夫だとすれば、「ラジオの神様」は近石真介である。
TBSラジオ「伊集院光とラジオと」(月~木、午前8時半~11時)の、昨日のゲストが近石真介さんだったことを知って、ラジコのタイムフリーで聴いてみることにした。
伊集院光が朝のワイド番組を担当する時間帯は、もともとは近石真介さんが担当していた時間帯である。
つまり僕の中では、近石真介→大沢悠里→伊集院光、なのである。
だから近石さんがこの番組にゲスト出演するというのは、僕にとって非常に感慨深いことなのだ。
小学生のとき、TBSラジオ、平日朝のワイド番組「こんちワ近石真介です」を聴いたことがきっかけで、ラジオが好きになった。
1971年~1980年にかけて、月~金の朝9時15分から11時5分まで放送していた。いったん降板するが、リスナーの強い希望により、1983年~1985年に2年間だけ復活する。
今回の番組で初めて知ったことだが、「朝の生ワイド番組」という形態を初めて作り出したのが、近石真介さんなのだそうだ。それまでは「朝の生ワイド番組」という概念が存在しなかった。
だが、その形態が今に至るまで受け継がれているのだから、民放ラジオ番組における近石さんの功績は計り知れないというべきだろう。
民放ラジオ番組だけではない。同時期に、近石さんはNHKラジオの夜の帯番組を持っていた。「おしゃべり歌謡曲」である。夜8時10分からの40分番組だったかと記憶する。
不思議なことに、この「おしゃべり歌謡曲」については、インターネット上にもまったく情報があげられていない。
こちらの方は、生放送ではなく、収録であったが、当時のNHKラジオにしては、めずらしく肩の力の抜けた番組だった。といって、決してゆるい番組というわけではなく、構成がとてもしっかりしていた。
この番組の構成は、知る人ぞ知る「小山田満月」である。
そういえば、昔のラジオって、最後にスタッフの名前を読み上げていたよなあ。今でもやってる番組あるのかなあ。大沢悠里さんの番組くらいか?
僕が唯一、ラジオ番組にハガキを送ったのは、この「おしゃべり歌謡曲」だった。
近石さんのお喋りの特徴は、「日常の延長」という一言に尽きる。何でもない話題を、ふつうに喋る。実はそれが、いちばん難しい話術なのではないか、とも思う。
近石さんは、ラジオパーソナリティー全盛期には月曜から金曜まで、TBSラジオの朝の生ワイド番組とNHKラジオの夜の番組の、二つの帯番組を持っていた。たぶんこんなラジオパーソナリティーは、ほかにはいない。
そして86歳になった今も、「はがきでこんにちは」という5分番組を、細々と続けている。
この方を「ラジオの神様」と言わずして、何と言おう。
さて、近石さんは80年代半ば頃から、芝居に専念するという理由だったかで、ラジオの世界から撤退された。
その後、TBSラジオは、平日朝8時半から夕方4時までの超大型ワイド番組「スーパーワイドぴいぷる」(1985年4月~1986年4月)を鳴り物入りで始めるが、これがビックリするくらいの大失敗に終わり、わずか1年で打ち切り。後番組として「大沢悠里のゆうゆうワイド」が始まるのである。
ま、わからない話はこれくらいにしよう。
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