講演行脚
6月24日(土)
今週2つめの講演会は、職場が会場である。
ただし、少し特殊な講演会で、「植物しばり」の話をしなければならない。
聞きに来る人たちは、みなさん植物が大好きな人たち、つまり植物マニアである。
しかし私は、植物について、今までちゃんと勉強したことが一度もない。
つまり「話し手」よりも「聞き手」の方が、はるかにプロなのである。
50人くらいのマニアたちの前で、ド素人が偉そうに講演をする。
これを「釈迦に説法」と言わずして、何と言おう。
困ったなーと思い、苦し紛れに、「薬草」をテーマにした話をした。
これだって私はまったくの門外漢である。
なんとか1時間半ほどの話を終え、無事に終了した。
講演が終わったあと、聞いていただいた何人かの方たちから、植物についてかなりマニアックな知識を教わった。
さらに、である。
「あのぅ…実は、私、薬学部で准教授をしております」
という方もいて、軽く死にたくなった。
さて。
講演会が夕方に終わり、今度は、その足で今週3つめの講演会がおこなわれる場所へと向かう。
といっても、今日のうちには到着できないので、その手前の町まで行って、泊まることになった。
私にとっては、初めて訪れる町なので、いったいどんな町なのか、まったくわからない。
新幹線と在来線を乗り継いで、4時間半ほどかかり、その町に到着したのが、午後9時過ぎである。
駅を降りると、街灯もなく、辺りは真っ暗である。
(しかし、まわりに何もないぞ…)
コンビニで、明日の朝御飯を買わなければならない。
フロントでチェックインしたあと、フロントのおじさんに聞いた。
「あのう…この辺りに、コンビニとかってありますか?」
「あ、それは川向こうですね」
「川向こう?」
川向こう、といわれても、私はこの町に来たのが今日が初めてなのだ。しかもこんな真っ暗では、どこに川があって、どこに橋があるのかなんて、まったくわからないのだ。
「地図をどうぞ」
といって、簡単な地図を渡された。
「川向こう、といいますと、この駅の反対側ですね」
と、地図を見ながら私が聞くと、
「そうです。川向こうですから」
当然だ、といった感じでそのおじさんは答えた。
「で、コンビニはどの辺に…?」
「川向こうです」
川向こうです、の一点張りである。
これ以上埒があかないと思い、簡単な地図を見ながら、歩き始めることにした。
(まずは、川を渡らないとな…)
地図のとおりに歩いて行くと、大きな橋にぶち当たった。
予想していたよりも、はるかに幅の広い川である。
(この川を渡るのか…)
真っ暗な橋の上を、とぼとぼと歩くと、橋の向こうに明かりが見えた。
(商店街だ!)
しかし近づくにつれ、不安になる。
まあ無理もない。夜9時を過ぎているのだから。
やがて橋を渡りきり、商店街に入る。
とぼとぼと歩くのだが、人はおろか、車もまったく走っていない。
誰とも、すれ違わないのだ。
(このまま、商店街を突き進んでも大丈夫だろうか…)
だんだん不安になってきた。
もう一度、地図を見直すと、途中、右に曲がるとコンビニがあるらしい。
信号のところで右に曲がるのだが、やはり人っ子ひとりいない。
商店街から離れ、だんだんとまた町が暗くなっていく。
(うーむ。本当にコンビニは存在するのか?)
かれこれ30分近く歩いているぞ。
もはやこれまでか、とあきらめかけたとき、コンビニの看板が見えた。
(助かったぞ-!)
さて、同じ道を帰るのか…。
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コメント
あらま、同じ道を行ってこいで。
働きすぎは体によくないから、今日、講演する行く町で薬草飴を買うといいですよ。
なんか薬草に詳しくなったようだし。
もっとも、入っているのは婦人病によく聞く成分らしいですけど。
投稿: 謎のコブギさん | 2017年6月25日 (日) 10時14分
誤:聞く 正:効く
ホテルの町は、ミケランジェロのお寺の近くですね。
去年、サイクリングの帰りに行きましたが、絢爛豪華なので、お時間があればどうぞ。
投稿: 謎のコブギさん | 2017年6月25日 (日) 10時31分
こぶぎさん、泊まった町の名前も、泊まったホテルの名前も、全部正解です!
今回は時間がなく、トンボ返りでした。
投稿: onigawaragonzou | 2017年6月26日 (月) 00時02分