しんどいついでに、愚痴を一つ
8月22日(火)
いま、いちばん頭を悩ませているのは、韓国のある機関が9月に開催する国際的イベントのお手伝いである。
その機関とは、昨年、協定を締結したのだが、そもそもは向こうから協定の話を持ちかけられた。
私は最初、悪くない話だと思ったのだが、話がどんどん進んでいくうちに、なんとなく、これは筋がよくない話かも、と思うようになった。
昨年度に就任した向こうの社長さんは、エリート官僚で、おそらく3年くらいこの会社に社長として出向して、また本庁に戻るのだろう。
その社長さんは、任期中に、なんとか派手な実績をつくって、それを手土産に本庁に戻りたい、と考えているように、僕には思えた。
それで、海外の機関と提携して、国際と名の付くイベントを派手にぶちまけたい、と思っているようだった。
当然のことながら、社長がそういう方針だと、振り回されるのは部下たちである。
できたばかりの機関で、まだほとんど実績がなかっただけに、慣れていない部下たちはかなり苦労しているようだった。
昨年、協定を締結したとき、それを記念する大がかりなイベントをおこなった。そのとき、
「次回は、2年後の平昌五輪に合わせて、国際的なイベントをおこないます。そのときにはまた、ご協力をお願いします」
と社長さんにいわれ、
「はぁ」
と答えるしかなかった。
ところが、である。
今年の4月ごろ、先方から連絡が来た。
「今年の秋に、国際的なイベントをおこなおうと思います。ご協力願えますか?」
僕は驚いた。てっきり、来年、すなわち2018年におこなうと思っていたからである。
「来年ではないんですか?」
「いいえ、今年です」
なんとも強引な話である。2018年に開催ということで合意していたものを、あっさりくつがえしたのである。いかにも韓国らしい。
まことに摩訶不思議な国である。
どうしてこんなことになったのだろう?
私の見立てはこうである。
官僚から出向してきた社長は、早く手柄を立てたいと思ったのだろう。平昌五輪まで待っていては、何もできないまま本庁に戻る可能性だってある。ここは、早めに手柄を立てておいて、できるだけ多くの実績をひっさげて本庁に戻ろうと考えたのだろう。
それに、今年の5月に政権が変わったのである。韓国では政権が変われば、官公庁の人事ががらりと変わることは、よくあることである。
いつ異動してもいいように、自分がいるうちに派手なイベントをやってしまおうと考えたのである。
国際的イベントを1年前倒しして実施するなどということは、絶対に部下の判断では不可能である。社長の気まぐれな一言で、部下たちが動かざるを得なくなったに違いない。
それにしても、いちばん迷惑を被るのはこの僕である。
本来ならば、もっとじっくり準備しなければならないところを、せき立てられるように準備しなければならないのである。
なんで俺が、俺とは何の関係もない、韓国の官僚の出世の片棒を担がにゃならんのだ!
しかし、それを当たり散らすこともできない。
仕方がないので、協力することにした。
だが、先方の機関の部下たちは、やる気がないのか、能力がないのか、非常識で強引な要求ばかりしてくる。
まったく思い入れがないまま、イベントの準備をしていることが、メールのやりとりを通じて手に取るようにわかった。
うちの職場の規則と折り合いをつけながら、話を進めていったのだが、どうも先方は、そんなことなどお構いなしで、簡単に実現できると思っているらしい。
それがまた僕をイライラさせた。
いっそ、ちゃぶ台ひっくり返して手を引こうかとも考えたが、それも大人げない。
外交の基本は、相手が無茶なことを言い出しても、その土俵に乗っかることなく、大人の対応をすること、である。
もうひとつ、すべて韓国語でやりとりしなければならないのがつらい。
なんでお願いされている側が、韓国語を使わにゃならんのだ?
しかも、韓国語がネイティブなみにできると思われているようで、まったく容赦なく喋り倒してくる。
今日なんか、職場に5回も立て続けに電話がかかってきて、そのたびに韓国語で応酬した。
電話をかけてきたのは、おそらくは20代の、いちばん下っ端の職員で、おそらくは専門的なことがひとっつもわかっておらず、おそらくは上司にいわれるがままに、非常識な無理難題を要求してくるのだ。
最後の方は、さすがに声を荒げてしまった。
そうしたら、しばらくしてまた電話がかかってきた。
(またかよ…)
しばらく無視していたら、何度もかかってくるので、仕方なく取ると、今度は私と同世代の、私もよく知る職員さんだった。
「先生のおっしゃるとおりにします」
と、一応、丸く収めてきた。
最初からあんたが出てこいよ!
「先生、お身体大丈夫ですか?」
「あんまり大丈夫じゃないんです。ですので、来月のイベントには参加できません」
「そうですか。残念です。どうかお身体大切に」
はたして、このイベント、どうなることやら。
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