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創作落語・アウフヘーベン

(記者会見場にて)

記者「築地と豊洲はどうなるんですか!?」

党首「アウフヘーベンが必要ですね」

記者「若狭と細野の関係はどうなるんですか!?」

党首「これもアウフヘーベンが必要です」

このやりとりを聞いていた先輩記者と新人記者のふたり。

先輩「おい、新人」

新人記者「何です?」

先輩「お前、アウフヘーベンがあるか?」

新人「アウフヘーベンって、いったい何です?」

先輩「おまえ、記者をやっていてアウフヘーベンを知らんやつがあるか!いま党首が、『アウフヘーベンが必要だ』って言ってただろう。俺はお前に教えたはずだぞ」

新人「へえ、すんません。忘れました」

先輩「なぜ忘れる?いいことがある。近所に物知りのご隠居がいるから、そこへ行って聞いてみなさい」

新人「何て言って行くんです?」

先輩「アウフヘーベンがおありですか、と」

新人「あるって言いましたら?」

先輩「あると言うたら必要だからと言ってちょっと借りてきなさい」

新人「借りに行くんでも品物を知らないで行っちゃおかしいんですけど…何のことなんです?」

先輩「先方へ行ってそう言ってみれば向こうの返事であらかた様子がわかるで。行ってみなさい!」

新人「へーい。…こんにちは」

ご隠居「おや、誰かと思えば新人さんじゃないか?まあまあこっちへお上がりよ」

新人「どうもすいませんです、ごちそうになりましてね」

ご隠居「なんだい、その「ごちそうになりまして」てえのは」

新人「「まんまおあがり」といいますから、御膳をご馳走になるんでがしょ?」

ご隠居「いや、おまんまじゃないよ。まあまあこっちにお上がり、と言ったんだ」

新人「あー、そうですか。「まあまあおあがり」か。なんだ、メシじゃねえのか。なんだがっかりさせやがって」

ご隠居「なんだよ。飯を食うつもりで来てんのかい?ヘンなやつだな。お上がり」

新人「へい、どうも」

ご隠居「今日はどうした」

新人「へえ、今日は物知りのご隠居さんに、聞きたいことがございましてね」

ご隠居「何だ?」

新人「あのう…アウフヘーベンがおありですか?」

ご隠居「何だって?」

新人「ですから、アウフヘーベンがおありですか、とこう言ったんです」

ご隠居「アウフヘーベン…あるぞ!」

新人「ありますか!?」

ご隠居「到来物のアウフヘーベンだがね。

新人「弔いもんですか?」

ご隠居「「弔いもん」じゃねえ、「到来物」だよ。よそから頂いた…」

新人「そうだろうねえ。買うわきゃねえからね」

ご隠居「口が悪いねどうも。…えー、アウフヘーベンを切っておくれ、ばあさんや。薄く切るとまたぐずぐず言うからな。了見なんぞ見られるといけないから厚く切った方がいいよ。お茶入れかえておくれ、ばあさん」

新人「おう!ばあさん、そうだよ。薄く切っちゃいけねえよ。アウフヘーベンの薄いのは痛々しいからな、ばあさん。厚く切った方がいいよ、ばあさん。お茶入れかえてね、ばあさん。ね、ばあさん」

ご隠居「この野郎、ばあさんばあさん言いやがって。てめえがばあさんばあさんということがあるか!」

新人「妬くな」

ご隠居「妬いてやしねえよ、まったく。どうもしょうがねえなあ。どうだい、アウフヘーベンの味は」

新人「これがアウフヘーベンですかい?」

ご隠居「そうだ。これが正真正銘のアウフヘーベンだ」

新人「ずいぶんと美味しいんですなあ、アウフヘーベンは」

ご隠居「舶来ものだからなあ」

新人「薄情者ですか?」

ご隠居「薄情者じゃない、舶来ものだよ。外国からわたってきた」

新人「なるほど、どうりでうめえわけだ。で、ご隠居、お願いなんですが」

ご隠居「何だ」

新人「あっしの先輩が、アウフヘーベンが必要だからぜひ借りてきなさいって言ってましてね」

ご隠居「貸すなんて野暮なことは言わんよ。もう一つあるから持って行きなさい」

新人「ありがとうございます」

(帰り道)

新人「ご隠居さんもバカだねえ。どう考えたってこれはバウムクーヘンじゃないか。さてはご隠居さん、アウフヘーベンを知らないな。よし、こうなったらヤホーで調べてみよう」

ピッピッピ…

新人「なになに、アウフヘーベンとは、ドイツの哲学者であるヘーゲルが弁証法の中で提唱した概念…か。何だ、食べ物でも何でもないじゃないか!…待てよ、ということは、うちの先輩もアウフヘーベンを知らないんじゃないか?そうだ、試しにこのバウムクーヘンをアウフヘーベンだと言って渡してみようか。違うって言ったら知ってるということだし、そうだって言ったら知らないってことになるな」

先輩「戻ってきたか。アウフヘーベンはあったか?」

新人「ありました」

先輩「どれ、見せてみなさい」

新人「でも先輩、アウフヘーベンをご存じなんでしょ?」

先輩「もちろんそうだ」

新人「じゃあもったいぶらなくて教えてくれてもいいじゃありませんか」

先輩「ばかもん!お前が持ってきたものがアウフヘーベンなのかどうか、確かめねばいかんだろ!見せてみなさい」

新人「へぇ」(…と、おそるおそる差し出す)

先輩「なるほど、これがアウフヘーベンか…。いや、アウフヘーベンが洋菓子であることくらい、俺はお前に教えたはずだぞ!」

新人「フフフッ」

先輩「何が可笑しい!」

新人「いえ…」

先輩「よし、このアウフヘーベンを、党首に渡そう」

新人「どうしてまた渡すんです?」

先輩「どうしてってお前、党首は「アウフヘーベンが必要だ」と記者会見で言ってたんだぞ。俺たちがこれを渡せば、これからの取材にも便宜をはかってくれるに違いない」

新人「それはやめたほうが…」

先輩「なぜそんなことを言う?…党首、党首!アウフヘーベンを持ってきました!」

党首「ありがとう。私、アウフヘーベンが大好物だったのよ」

新人「党首も知らなかったんかい!」

…うーむ。調子が悪いので、長いだけでちっとも面白くありませんな。支離滅裂だ。

「アウフヘーベン」を題材にした創作落語、お待ちしております。

鬼瓦亭権三(ごんざ)でございました。

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コメント

アウフヘーベンと転失気の区別がつかねえ奴なんて、どこのドイツだ?

屁ーげる。

投稿: 急忙につき、これで許して(こぶぎ) | 2017年9月27日 (水) 17時22分

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