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福岡の珈琲豆屋のお兄ちゃんの思い出

読者のみなさんこんにちは、高校時代の友人・元福岡のコバヤシです。

私は珈琲が結構好きで、豆を買ってきて自分で挽いて珈琲を楽しんでいます。

福岡に転勤して間もなく、市内でも有名な珈琲屋の支店が近所に出来ました。徒歩1~2分だったことも有り、割と頻繁に顔を出していました。

そこの店長をしていたN君は本当に人懐っこい人で、まだ30そこそこだったのですが、店に来るお客さんといつもおしゃべりをしています。下には彼よりも年上のパートの主婦とバイトのお姉ちゃんがいたのですが、彼女達とも本当に楽しそうにしゃべっています。

私も通ううちにおしゃべりをするようになったのですが、ある日、バンド練習の後立ち寄ったら、N君が「それは楽器ですか?」と尋ねてきます。「サックスです。」と答えると、「へ~!僕、最近サックスに興味があって、カッコイイなあと思ってたんですよ。」と言いながら、私の楽器ケースをじっと見ています。そのうち「ちょっと見せて貰ってもいいですか?」と聞いてきたので、ちょっと恥ずかしいなあと思いつつも、他にお客さんがいなかったので、ケースを開いて見せてあげました。

また、じっと眺めてから突然「ちょっと吹いて貰ってもいいですか?」と聞いてきます。こいつは何を言い出すんだろうと驚いて「ちょっとお店の中はまずいでしょ~。結構うるさいし、他にお客さんが入って来たら迷惑ですし...」と私が言うと、「大丈夫、大丈夫!お店のドア閉めちゃえば判りませんて!」とかなり強引にせまってきます。ついに私も根負けしてお店の中で、恥も外聞も無くサックスを吹かされてしまいました。一体俺はこんなところで何をしてるんだろ~。

それから1~2年お店に通っていたある日、「コバヤシさん、僕、この店を辞めることにしました。僕の夢は、自分の家の近く(結構、山の中)にお庭が綺麗なカレーの美味しいカフェを出したいんです。その為に花屋に転職することにしました。」と、これまた突然言い出しました。暫くしたら本当に辞めて、花屋でバイトを始めました。

たまに自分が勤めていた珈琲屋に顔を出すので、時々おしゃべりをしていましたが、またある日突然、「コバヤシさん、僕、花屋を辞めることになりました。」と言い出します。「どうしたの?」と尋ねると、「この間、花屋の配送の仕事でトラックを路駐していたら、お巡りさんに捕まって、免許証の提示を求められたんです。そうして免許を出したら、免許の期限が切れて失効してたんです。いや~、びっくりしました。」とのたまいます。こちらからしたら、ちょっと待てよ、普通は気付くだろ~、と思い切り心の中で突っ込んでしまいます。「でも、お巡りさんが優しくて、今回だけだぞ、と見逃してくれたんです。」、これまた、お巡りさん、それもダメだろ~、と再び心の中で突っ込んでしまいました。何とも福岡のユルさをつくづく感じてしまいます。

暫くして、N君は飲食店に勤め始めたのですが、ある日、突然メールが来て、「コバヤシさん、今度の週末お時間有りますか?実は、今の勤め先にサックスがあって、店長が貸してあげるよ、と言ってくれたんです。コバヤシさんに使える楽器か見て貰いたいんです。宜しければ、珈琲屋の開店前、10時にお店に来てください。」とのこと。心の中で「俺、N君とそんなに親しかったっけ?しかも、お店って、お前その店辞めたんだろ~!」と大声で突っ込んでしまいました。

仕方なくお店に顔を出すと、お店の新しい店長が「わざわざ、すいません。」と珈琲をサービスしてくれます。ここでも「後輩かもしれんけど、もうお前、お店と関係ないじゃん、何偉そうにしてんだよ。」と、まともや突っ込まざるを得ない状況です。N君のマイペース加減には驚くばかりです。

そのうち、N君は、お店を出す為にはもっとお金が必要と、中京地区にある某自動車会社の期間工の口を見つけて旅立って行きました。

その数年後、また突然メールが来て「コバヤシさん、今度、僕、大名(福岡の繁華街)にお店を出すことにしました。是非、来てください。」と連絡がありました。早速、顔を出すと「いや~、実は期間工を終えてふらふらしていたら、社長(元の雇い主)から呼び出しをくらって、「お前いい加減にしろ。奥さんも子供(ふらふらしている間に2人も子供を儲けています)もいるのに定職に就かないとは何事だ!うちの暖簾分けということでいいから店をだせ!」と言われてお店出すことになったんです。」。いや~、本当に福岡市民の懐の深さにはただただ関心するばかり。

そうして、彼は今も福岡の街で珈琲を淹れています。しかし、本当に人間何とかなるもんですね。こんなに適当でも、ちゃんと楽しそうに暮らしてますし、ついには奥さんのミーちゃんのパートを辞めさせて、更に支店を出させてしまいました。しかも、知り合いの美容院の軒先を借りての営業形態。本当に、こいつはどこまで人の好意に甘えていくんだろう、と驚くばかり。

まだまだエピソードはありますが、今日はこの辺まで。

まあ、人間どうとでもなるということで、この文章を楽しんで頂けたら幸いです。

では、また。

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