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ある思い出

僕は現政権、とくに現首相をまったく支持していない。

それは、ひとえに個人的な事情によるものである。

10年以上前だったか、2年間ほど、極秘の仕事をしたことがある。

どれだけ極秘の仕事かといえば、自分がその仕事をしていることを、誰にも言ってはいけない、というほどの仕事である。

なにしろ、毎年数十万人の人の運命を左右する仕事なので、仕事の成果物は、公平、公正、正確さなどが求められた。情報が漏洩したり、一部の人に有利にはたらかないよう、当然のごとく、その仕事は極秘とされていたのである。

だからとても緊張を強いられた仕事だった。

僕がその仕事につく前の年、ある事件が起こる。

世間に公表された、その年の成果物が、一部の政治家によって問題とされたのである。

成果物の内容が、右派の政治家にとっては、面白くないものだったのだろう。

2人の政治家が、直接「申し入れ」をしてきた。「申し入れ」というよりは、「言いがかり」である。

こんな内容はけしからん、と。

そして次のような要求をしてきた。

このような偏向的な成果物が、今後作られるようなことがあってはならない。ついては、今後、この仕事に携わっているすべての人間の氏名を公表すべきだ、と。

つまり、こんな偏向的な成果物を作ったやつは誰なのか、氏名をさらせ、というのである。

まったくムチャクチャな要求である。

もちろん、任期が終わった後、ある程度の時間が経てば、自分がその仕事についていたことを公表することは差し支えないことになってはいたのだが、全員の氏名を問答無用で公表するなどというのは、信じがたいことである。

氏名を公表することにより、情報の秘匿が守られなくなる可能性がある。

もう一つは、氏名をさらすことにより、身に覚えのない攻撃にさらされる可能性も出てくる。

つまりこれは脅しであり、政治的圧力なのだ。

今後、政権に都合の悪い成果物を出すな、という脅しである。

その仕事を統括している機関は、翌年の担当者、つまり僕がその仕事についた年から、氏名を公表するという、苦渋の決断をした。

たぶん何らかの方法で、その仕事に携わった人間の1人として、僕の名前が世間に公表されたはずである。

この「事件」は、ほとんど報道されることはなかったと思う。

裏で政治家が、こんな圧力をかけている、なんてことは、ほとんど知られていなかっただろう。

その代わり、氏名を公表する、という報道もなされなかったので、今でいう「炎上」のようなことにはならなかった。

さて、その2人の政治家のうちの一人は、北海道選出の与党の大臣経験者であった。それから何年か後に、亡くなってしまった。

もう一人が、いまの首相である。当時は与党の幹部だったと思う。

僕は、自分の身に降りかかったそのときの出来事をきっかけに、彼をまったく許せなくなった。

僕は、彼にとっては、圧力をかけられる側の人間、あるいは弾圧の対象となりうる人間なのである、と、そのとき、認識したのである。

彼が首相でいるかぎり、そのようなことがくり返されるのではないか。

「こんな人たちに負けるわけにはいかない」

という言葉を市民に向けて吐いているのをみて、僕はあのときのことを思い出したのである。

…もう時間も経っていることだし、ブログの読者もほとんどいなくなっているので、ここだけの話として書いてみた次第。

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