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葬儀の前に ~人数確定~

葬儀の前には、葬儀屋さんと、何度も打ち合わせをする。

葬儀の日程と場所の決定から始まり、祭壇をどうするかとか、祭壇に飾る花の種類をどうするかとか、看板をどうするかとか、会葬礼状の枚数、遺影の写真の選定、果ては遺影の額の選定など、とにかく細かいところを、一つ一つを決めていかなければならない。

しかし、先立たれた者からすれば、気持ちが動揺していたり、疲れていたりして、かなり思考力が落ちているところがある。いっぺんにいろいろなことを決める精神的な余裕もないので、葬儀屋さんも、少しずつ、無理のないように進めていくのである。

最も困ったのは、告別式のあとの精進落とし(食事)の人数である。

お通夜のあとの食事は、大皿料理を並べるので、ザックリと何人分、といった形で注文すればよいのだが、告別式のあとの食事は、一人一人のお膳が並ぶので、きっちりと人数を確定しておかなければならない。

父の遺志もあり、葬儀はなるべくひっそりと、家族葬でおこなおうということになった。

家族葬といっても、本当に家族だけでおこなうのではなく、親族にも来てもらうことにならざるを得ない。

また、近所の人にも、声をかけないわけにはいかない。

私の実家があるところは、昔から町内会の組織が強いところなので、声をかけないわけにはいかないのである。

それでも、町内会全体に声をかけてしまうと大変なことになるので、我が家が所属する「4班」にだけ声をかけることにした。

「あまり広めてくださいませんよう…」

と4班の方々にお願いしたのだが、人の口に戸は立てられないものだ。4班以外の人たちにも、広まってしまったようである。

4班だけでも、15人くらいいるのだ。

葬儀の当日に、飛び入りで来られる方もいらっしゃるかも知れない。

親戚のほうも、どれだけ来るかわからない。

はたして、告別式のあとの食事には、何人が参加するのか。

近所の人と親戚と、その全貌を把握しているのは母しかいないので、母は1日かけて、親戚の人たちと近所の人たちに電話をかけて、出欠を確認した。

「どうだった?」僕は聞いた。

「どうも40人くらいになりそう」

「よ、よ、40人??!!!会場は最大30人収容の部屋だぜ!」

近所の人と親戚を合わせて40人ほどが食事まで残るというのだ。

「最後まで残る人が40人いるということは、食事をせずにご会葬だけされる方も含めると、もっといらっしゃるということだ。しかも、通夜と告別式を合わせると…のべで100人近く来るということじゃないか?」

「そうなるかもね」

「通夜や告別式の時にお渡しする会葬礼状は何枚準備したらよいか…。100枚だと不安だから、120枚くらい準備しておいたほうがいいんじゃないの?」

「そうだね」

ということで、会葬礼状を120枚準備することになった。

これのどこが家族葬だ???

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