マクナマラ
ベトナム戦争の時に国防長官を務めたマクナマラ、という人物を、恥ずかしながらはじめて知った。
聞きかじりの話なので、これから書くことはかなりいい加減である。
彼はフォード社の社長に就任後、抜群の数学的才能を生かして、各工場の在庫を数値化して、在庫の有無を勤務評定に反映させることにした。
しかし、現場の責任者たちは、現場のことを知らない人間が勝手に数値目標を立てて、それによって評価をおこなうことに、やる気を失い、腹を立てた。
そこでどうしたかというと、在庫を減らす経営努力をしたのではなく、在庫をミシシッピーだかどこだかの川に、バンバン捨ててしまい、「ほら、在庫がなくなりました」と報告した。
俺たちの仕事は数値ではかれるものではない、と、現場の人間が反発したのである。
こんなばかげたことをやったマクナマラだったが、これをどう間違えたのか、政府の中で彼の手腕を評価する人たちがいて、彼を国防長官に抜擢したのだった。
そしてベトナム戦争の時も、彼は同じことをやった。
つまり、各部隊がどれだけ戦果を挙げたのか、数値化して評価しようとしたのである。
現場の部隊は、ただでさえ士気が上がっていない。そもそも縁もゆかりもない土地で、なぜ俺たちは戦わなければならないのか。
そこに、現場を知らない人間が、数値目標を求めてきたのだ。
当然、彼らがやったことは、数字の捏造だった。
各部隊は、自分たちが抜群の戦果を挙げたということを、バンバン報告してきたのである。
このウソの報告のおかげで政府は、自分たちが優勢であるという勘違いをしてしまったのである。
…という話。あくまでも聞きかじりだが。
この話からわかることは、現場を知らない人間が数値目標を言いだしたとき、現場の人間は士気が下がり、数値目標を達成しようと努力する方向ではなく、数値を捏造する方向に向かう危険性がある、ということである。
たぶんこれが、ベトナム戦争の教訓だと思うのだが、残念ながら、いまこの教訓はまったく生かされていない。いま私の業界が取り巻いている状況って、これと同じではないのか?
…と、職場の会議に出るたびに、いつも思うのだ。
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