選択肢がない!
むかし、ラジオの深夜番組で、「Yahoo!知恵袋でも答えられないような質問」を募集するコーナーがあった。その中で、
「いま、教習所に通っているのですが実技が苦手です。そんな私が元気になるような教習所を舞台にした映画はないでしょうか。不器用な主人公や、ひと癖ある教官が出てくるようなコメディ映画です。ただし、館ひろし主演の「免許がない!」以外でお願いします」
というネタがあって、大笑いしたことがある。
いま、うちの職場で、シリーズものを出版する企画が進んでいて、3年間で6冊を刊行する予定になっている。昨年度、すでに2冊を刊行し、今年度中に2冊、そして来年度に残りの2冊を刊行する、というペースである。
で、今年度末刊行予定の2冊のうちの1冊に、私もかかわることになった。
初校を返し、あとひとふんばりというところなのだが、出版社の担当者からメールが来た。
この担当者、自分で考えることをせず、かといって変にこだわりがあるのか、こっちの提案を受け入れてくれないこともあり、ちょっとアレな感じがして、なんとなく相性が悪い。
まあそれはともかく。
送られてきたメールには、表紙のカバーの色をどうするか、という質問が書かれていた。
「全6巻、それぞれカバーの色が変わります。お好みの色、また、避けたい色がございましたらお知らせいただきますようお願い申し上げます。
なお、1巻、2巻で使われた色は使えません。特にございませんでしたら、デザイナー任せとなります」
カバーの装丁は6巻とも同じなのだが、色を別々のものにしたい、という方針のようである。
それなりに思い入れのある本なので、色をデザイナー任せにするというわけにはいかない。
もう一人の編者である同僚と相談した。
その本のテーマが、「石」にまつわる話なので、表紙は「石」をイメージした色にするのがいい、ということになった。
既刊の第1巻、第2巻をみてみると、第1巻が茶色っぽいオレンジ。第2巻が青っぽい紫色で、どちらも本のテーマを意識した色にしている。
では、今年度内に刊行予定の、もう1冊のほうはどうだろうか。
こちらに情報が入っているわけではないが、おそらく、本のテーマからすると、表紙の色は緑系なのではないかとふんだ。
これらのことから、石をイメージした、薄い青系の色ということにしてはどうか、という結論に落ち着いた。
そうこうしているうちに、担当者から追加のメールが送られてきた。今年度刊行予定のもう1巻の表紙のカバーの色について、青緑系ということでお願いしたいという提案が送られてきたというのである。
やはりこちらの予想通り、緑を使うんだな。
担当者のメールには、
「色は、1巻、2巻の色、3巻の青緑は避けていただきますよう お願いいたします」
と、念押しの言葉があった。
私たちは担当者に次のように返信した。
「表紙のカバーの色については、イメージとして石の色で、たとえば薄めの青はどうでしょうか。とにかく石の色のイメージということでお願いします」
すると担当者から返事が短い来た。
「もう1つの巻も青銅の青ですので、申し訳ございませんが青系は避けたいところです」
またダメ出しのメールだ。うーむ。どうもよくわからない。青銅の青といっても、実際は緑である。
「緑」は青系なのか?
それに、どうしてうちのほうが妥協しなければならないのか?
いろいろと言いたいことがあるのだが、まあ仕方がない。
いずれにしても、色の選択肢がかなりな部分、封じられてしまった。
これはYahoo!知恵袋に聞くしかないのか?
「本の表紙のカバーの色で悩んでいます。石をテーマにした本なので、石をイメージした色にしたいのですが、茶色、オレンジ、青、紫、緑などはすでに同じシリーズの別の巻に使われてしまっているので使えません。
また、赤、黄色、ピンクなどの暖色系は石のイメージには合いません。
黒は、暗いイメージになってしまうので使えません。
グレーは、すでに表紙の中で部分的に使われてしまっているので使えません。
白では、売れそうにありません。
これ以外で、表紙のカバーの色にふさわしいものがあったら教えて下さい」
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コメント
(ベストアンサー)
ずばり、限りなくブルーに近い透明だと思います。
なにしろ、サランラップ一枚で包めば済むので、コストも安上がりです。
なお、本のタイトル自体をこれにすれば、間違って買う人が必ずいるので、売上もアップ間違いありません。
投稿: こぶぎ袋 | 2017年12月22日 (金) 07時47分
さきほど、出版社から表紙のカバーの色の提案が送られてきて、表紙の色が決定されました!
結果は刊行を待て!
投稿: onigawaragonzou | 2017年12月23日 (土) 00時40分