LINEで被害妄想
1月5日(金)
ラジオの友は真の友。
「問わず語りの権之丞」、はじまりでございま~す。
はい、こんばんは、講談師の鬼瓦権之丞でございます。そして目の前に座っているのは、笑い屋のシゲフジ君、ということでね。
高校時代に同じクラスだった人からメッセージが来ましてね。
どうやら近々クラス会をするらしいんです。卒業してから30年ということでね。
僕の通っていた高校は、3年間クラス替えがないんですよ。だから、3年間同じ人たちと過ごす。
ただ僕は、部活のほうに入り浸ってましたからねえ。というかもっぱら、この番組によく出てくるコバヤシ君とばかりつるんでましたから、あんまりクラスの友だちっていないんですよ。
地学部のO君と生物部のK君くらいですかね。友人と呼べるのは。
(シゲフジ君の笑い声)
言っときますけど僕は、地学部と生物部の幽霊部員だったんです!
(シゲフジ君の笑い声)
天体観測?そんなもの行きません。もっぱら地学部の部誌に、寺田寅彦に関するエッセイを書いていました。
(シゲフジ君の笑い声)
生物部も、さして生物を観察することもなく…。でも「香川照之の昆虫すごいぜ!」を見て、久々に生物部の血が騒ぎましたね。
(シゲフジ君の笑い声)
そんなことはどうでもいいんです。ま、クラス会に誘ってくれた人からすれば、「あいつの連絡先を知っちゃってるから、連絡しないわけにはいくまい」って感じで、仕方なく僕に連絡をくれたんでしょう。
(シゲフジ君の笑い声)
そしたらその人が、
「LINEやってる?」
と聞いてきたので、
「一応やってるけど、詳しいやり方はわからない」
と答えたんです。
そしたら、グループに招待っていうんですか?同じクラスのメンバーで、連絡先のわかる人たちでLINEのグループを作っているみたいなんですね。メールとかなんだとかはめんどうだからLINEでクラス会に関する情報交換をしようっていうんでしょう。
で、いわれるがままにスマホを操作してそこに登録したんです。
そしたら次から次に、
「おお!久しぶり!」
って、あの吹き出しみたいなメッセージが来るんですけど、あまりに突然すぎて、
(ええっと、どちら様でしたっけ)
と、わからなくなる人も出てくるわけです。なにしろ30年ぶりですからね。
で、よくよくそのLINEのグループのメンバーというのを見てみると…。
僕以外、テニス部、バスケ部、サッカー部…全員体育会系の人たちなんですよ。
うちのクラス、べつに仲が悪いわけではなかったんですが、どうしても体育会系と文化部系に分かれますよね。
で、体育会系の人たちというのは、みんなイケてる人たちなんですよ。さわやかな人たちです!
それにくらべて文化部系は、というか俺は、全くイケてない。
なにしろ地学部と生物部を掛け持ちしているくらいですから。文系なのに。
(シゲフジ君の笑い声)
なので高校時代は、コンプレックスの塊だったわけです。
で、気がついたんですけど。
やっぱりイケてる人たちってのは、LINEを使いこなしているわけですよ!
(シゲフジ君の笑い声)
受け答えがサラッとしていたり、絵文字を適切に使ったりと。
それにくらべれば僕は、いまだに文中で「(笑)」なんてのを使っていますからね。
(シゲフジ君の笑い声)
イケてる人ってのは、いくつになってもイケてるんですね。
それと、LINEってのは、話題の切り上げ方がわかりませんね。
「既読スルー」ってのは、絶対やっちゃイケないんでしょ?
(シゲフジ君の笑い声)
だから、どこで話を切り上げていいのかわからない。
こちらも言葉のプロですから、むこうが何気なく聞いてきたことに対して、真剣に答えなければ、と思ってしまうんです。そうすると、しつこくなってしまうんですよ。
(シゲフジ君の笑い声)
たとえば、テニス部だったゴロウ君から、こんなメッセージが来るわけです。
「そういえば、高校時代、ゴルゴって呼ばれてたよね。何でだろ?でも久しぶりだね」
ま、ゴルゴって呼ばれていたってことくらいしか、さして印象のない人間でしたのでね。
(シゲフジ君の笑い声)
僕はこれに対して、
「不思議なことに、部活でも先輩にゴルゴって呼ばれてた。同時多発的に呼ばれていたんだろうか…。不思議なことだ」
と返すわけですね。すると、
「へ~、面白いね!誰が言い始めたんだろ~。やはり、みんなそう思っていたのかな?」
と、気を使って返してくれるわけです。
さらに僕はまじめに分析しはじめる。
「クラスではクサカリ君が言い始めたんだと思う。たぶんその言い方が面白かったので広まったのではないかと。お前、ゴルゴって言いたいだけちゃうんか、と(笑)」
ここで「(笑)」を投入ですよ!
(シゲフジ君の笑い声)
ゴロウ君も、だんだん話題に困ってきたんでしょうね。
「ゴルゴって呼ばれることはどんな感じだった?」
と聞いてきた。それに対して僕は、やはりまじめに答える。
「ちょっと恥ずかしかったね。しばらくの間、ゴルゴ13の漫画が読めなかったもの。万が一読んでいるところを見つかったらバカにされると思ったから。自意識過剰だね」
このあたりで、もうゴロウ君はギブアップしたらしい。
「なんか面白いね~。今度、そんな話を聞かせてほしいね!クラス会、ぜひお待ちしています!」
なるほど、ここで話を切り上げろってことだな、と、さすがの僕も思いましたよ。
(シゲフジ君の笑い声)
こいつとつきあってるとキリがない、と思ったんでしょうな。
(シゲフジ君の笑い声)
厄介なやつが来たってな感じで、「既読」の数も、目に見えて減っていきました。
(シゲフジ君の笑い声)
他の人からのレスポンスもまったくなく…。
(シゲフジ君の笑い声)
あ~、俺はやっぱりイケてないんだと。
(シゲフジ君の笑い声)
こんな感じでクラス会に出たら、絶対、打ちのめされて帰ってくるに決まってます。
(シゲフジ君の笑い声)
…というわけで、今回も無事じゃなく終わりましたけれどもね。
今回も被害妄想全開でしたね。
(シゲフジ君の笑い声)
番組ではあなたからのメッセージ、お待ちしております。
お相手は鬼瓦権之丞でした。ありがとうございま~す。
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