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大雪の日に

1月22日(月)

首都圏で数年ぶりの大雪が降るという。

今日は1時半から5時まで、外部の方をお招きして、職場で寄合があるのだ。

「帰宅時間のころに交通機関がマヒする可能性があるので、寄合は3時に終了します」との連絡が来た。

しかしこういう日に限って、次から次へと仕事のメールが来る。

トラブル、依頼、問い合わせ、確認…。

それぞれに「打ち返す」ばかりでなく、自分から送らなければならないメールもあり、それだけでかなりしんどい。

寸借詐欺。いろいろな人からちょっとずつ騙してお金を取る詐欺のことである。

その言葉を借りれば、「寸借仕事」。

これくらいの仕事ならできるかな…と思って引き受けた仕事が積もりに積もって、最終的に首が回らなくなる。

「お体の加減も悪いでしょうから、あまり負担のない程度に…」

といいながら、みんなが少しずつ依頼してくるのだが、結局、合計してみると仕事の量は以前とさほど変わらない。

まったく、困ったものである。

それでも、以前とくらべれば、かなり仕事の量は減らしているのである。

しかしなかには、自分から引き受けてしまう仕事もある。

思わぬきっかけから、アジア・太平洋戦争の際に南方の戦地で亡くなった兵士の日記にかかわることになった。

今日はその正式な仕事の依頼も来たのだが、依頼のメールの中に、

〈偶然の連鎖は思いの強さが引き寄せる〉

という言葉が書かれていて、それが、依頼を引き受ける決め手となった。

考えてみれば、「思いの強さ」が自分の仕事の基準かも知れない。

まわりの同業者たちがあまりに売れる本ばかり書くので、少し前に、高校時代の後輩に、

「あ~あ、売れる本が書きたい」

と愚痴をこぼしたら、その後輩が、

「いまの時流に乗る本を書いても、それは、歴史には残りません」

と言ってくれて、ああ、やはり同じ価値観を共有できる人だな、と思った。

先日、ある会議に出たときも、恩師から、

「50年は残る仕事をしましょう」

と言われた。

まわりがどうあろうと、あとは、自分自身がブレないように仕事を続けていくまでである。

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