« LINEで被害妄想 | トップページ | 灰皿探偵 »

ミドリムシこわい

三吉 いいかい、人間ってのはねえ、誰でも怖いものってぇものがあるんだ。ちょうど時間をもてあましていたところだ。おもしれえ、端から怖いものを言ってみな。

八五郎 何だい藪から棒に。

三吉 いいから言ってみなってんだよ。

八五郎 よし!…お、おれは、毛虫が怖えぇ。

三吉 ほう、毛虫が怖えぇのか。じゃ、半ちゃんは何が怖えぇ?

半介 俺はオケラだ。 オケラのやつはゴミだめをほじくるってぇと出てきやがって、あれが気にくわねぇ。俺はオケラが大嫌えだ。三ちゃんは何が怖えぇ?

三吉 俺かい?俺はムカデがいやだねえ。 俺に、あんなに足が沢山あったらどうしようと考えると、むしょうに怖くなるんだ。わらじを買ったっていくらおあしがかかるか分からねぇしな。ムカデにだけはなりたくねぇ。ところで、正ちゃん、お前、さっきから黙っているけど、お前ぇの怖いものはなんだい?

正一 怖いもの?そんなものはこの俺様にはねぇ!この俺様に怖いものがあってたまるかい!

三吉 しゃくにさわる野郎だねぇどうも。怖えぇものがひとつもねぇだとよ。何かあるだろうよ!たとえば蛇なんかどうだい?

正一 へび?蛇なんか怖くねぇ。蛇なんか、俺は頭の痛いときには頭に巻いて寝るんだ。あいつは向こうで締め付けてくれるからとっても気持ちがいいんだぃ。

三吉 じゃ、トカゲとか、ヤモリなんかどうだい?

正一 トカゲ?ヤモリ?あんなもの俺はさんばいにして食っちゃうんだ。蟻なんかも、ごま塩にして食べちまうぞ。

三吉 本当にしゃくにさわるやつだな。じゃ、いいよ、虫やなんかじゃなくてもいいから、嫌いなものはねえのか?

正一 そうかい、それまで聞いてくれるかい?それなら言うよ。俺はねぇ、ミドリムシが怖いんだ!。

三吉 なに、ミドリムシ?なんだい、やっぱり虫がこわいんじゃねえか!

正一 ちがうやい!虫といったってなあ、昆虫とはワケが違うんだ!5億年以上前に誕生したミドリムシは、学名をユーグレナといって、植物と動物両方の性質を持った微細藻類なんだ。ワカメやコンブの仲間なんだぜ。 植物のように光合成を行い栄養分を体内に溜め、動物のように細胞を変形させて動くという、植物と動物両方の性質をもつ不思議な微生物なんだ!顕微鏡でしか見えないほどの小さな体に、「植物の栄養素」と「動物の栄養素」両方を備えていて、ミドリムシは人間が必要とする栄養素のほとんどをその体に秘めているんだい!…どうだ、こわいだろ!

三吉 おいおい、どうでもいいけどいきなり説明口調になったねえ。まるでステマだ。

正一 とにかく俺はねえ、情けねぇ人間なんだ。ミドリムシが怖くて、見ただけで心の臓が震えだすんだよ。そのままいるときっと死んでしまうと思うんだ。だから、ミドリムシを飲むと足がすくんでしまって歩けなくなっちまうんだ。ああ、こうやってミドリムシのことを思い出したら、もうだめだ、立っていられねぇ。そこへ寝かしておくれよ。

(長屋を出る三吉たち)

三吉 聞いたかよおい。

八五郎 聞いたぜ。ミドリムシだとよ。。

半介 なんだかわかんねえけど、あんなものが怖いとはなあ。

三吉 いいことを思いついたぜ。あいつに「飲むミドリムシ」をプレゼントしてやるってのはどうだい?

八五郎 なんだい「飲むミドリムシ」って。

三吉 実は俺も飲んでみたのよ。

半介 おまえさん、飲んでみたのかい?

三吉 ああ、死ぬほど不味かった。おまえらも飲んでみるか?

八五郎 冗談じゃねえよ。そんなもの飲めるかよ。

三吉 そうだろう。あんな不味いもの、誰が飲めるかってんだ。そんなものをプレゼントしたら、きっとあいつ、ブルブル震えだしてどうかしちゃうと思うぜ。

かくして三吉、八五郎、半介の三人は、正一が寝ているあいだに、紀伊國屋で買った「飲むミドリムシ」を、正一の枕元に置いたのでした。

三吉 おい、奥でごそごそいい出したぜ。野郎起きたんじゃねぇか?障子に穴を開けてそっと見てみようじゃねえかい。

八五郎 おい、大変だ!野郎泣きながら、「飲むミドリムシ」を飲み始めたぜ!野郎、ミドリムシが怖いってのは、嘘なんじゃぁねえか?。

(障子を開けて)

三人 おい、正ちゃんよぉ!おめえ、俺たちにミドリムシが怖いって嘘をついたな!太てぇ野郎だ。おめえ、本当は何が怖いんだい?

正一 今度は乳酸菌が怖い。

|

« LINEで被害妄想 | トップページ | 灰皿探偵 »

趣味」カテゴリの記事

コメント

「ねえ、グーグル。ミドリムシの味ってマズいでしょ」

「すみません。よくわかりません」

グーグル、お前もか。

投稿: カエサルこぶぎ | 2018年1月10日 (水) 10時37分

研究室の冷蔵庫がカラになってしまったので、やむなく新大久保で買ったままにしてあった「松の芽ジュース」を飲む。

http://www.seoulnavi.com/special/5000436

やはり不味い。

上であげたソウルのB級ドリンクの中でも、ダントツに不味い。

薄めたポカリスエットに龍角散を混ぜたような味だ。

韓国で以前、飲んだ時の記憶では、サロンパスをシロップに漬け込んだような味だった気がするが、いずれにせよ、なぜこれがコンビニの定番商品なのかわからない。

それにしてもミドリムシ・ジュースが美味いなんて、味覚がおかしい。

どうかしている。

そう書かれると悔しいもので、逡巡した挙げ句、近くのスーパーで買って飲んでみた。

あれ、味が違う。

僕が以前、飲んだ時の記憶では、青コケを水に溶かしたような味だったが、これでは、りんごベースの野菜汁に、笹の葉の粉末を溶かし込んた味だ。

どうも、昔と味が変わっている。

不味いものの不味いなりに、日々研究されて、以前より味が改良されているようである。

でも、不味くなくなるまで改良するのはどうだろう。

なんか、悔しい。

その点、松の葉はぶれない。

味が変わっても不味いまま、進歩を続けている。

こんどは松の葉ジュースがこわい。

投稿: 改良こぶぎ | 2018年1月22日 (月) 13時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« LINEで被害妄想 | トップページ | 灰皿探偵 »