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新春講演会

1月25日(木)

午後、都内で出版社の編集者と打ち合わせである。

もう10年近くのつきあいになる編集者で、とにかく私の書いたものを世に出したい、と言ってくれている。

私も、その誠実でまっすぐな人柄にすっかり負けてしまい、この人と仕事をすることになった。

「とにかく直接会って話をすることが大事だと、会社の先輩に教えられました」とその人は言った。その通りだと思う。

前回の記事で書いた、腹の立つメールを送ってきた編集者との違いは、こういうところにあるのだな。

それはともかく。

打ち合わせが終わり、夕方からは、都下の大学で「新春講演会」である。

この大学の某学科では、毎年1月に「新春講演会」をやるそうである。

依頼を受けたのは、3カ月くらい前のことだった。

ちょうど体調が悪い時期だったので、断ろうかとも思ったのだが、学生さんから手紙で依頼が来たので、引き受けることにした。

この大学には、むかし同僚だった人が勤めているので、その人の人選かな、とも思ったが、よくわからない。ただ、もしその元同僚から依頼が来たとしたら、断っていただろう。学生から依頼されたので、断れなかったのである。

それに、私が講演に呼ばれるなんてことは、めったにない。

私をよく知る人の中には、私が年中講演をやっているように思っている人がいるが、それは間違いである。私ほど、つぶしのきかない人間はいない。だから、もともと講演を依頼しにくい人間なのだ。

にもかかわらず、私を人選してくれたのだから、ありがたいというべきである。

駅を降りて、バスに乗り、「正門前」というバス停の前で降りる。

しかし、「正門前」といっても、正門がどこにあるかわからない。なにしろ私がこの大学を訪れるのは、初めてなのだ。

キョロキョロと見渡すと、大学の看板が見えた。

おそらくあの看板の立っている道路を歩いた先に、正門があるのだろう。

その道路は見事なまでに直線の道路で、200メートルほど歩くと、ようやく正門が見えた。

ずいぶんと奥まったところに正門があるんだな。

正門に着くと、学生さんが待っていてくれて、会場まで案内してくれた。

私は、どうしても正門前の直線道路のことが気になったので、聞いてみた。

「あのう…バス停から正門にたどり着くまでに、長い直線道路がありましたけれど、あれは公道ですか?」

「いえ、ちがいます。あれは大学の所有です」

「そうなんですか。ずいぶんと幅広い道ですけれど」

「めずらしいでしょう?」

「ええ、そうですね」

「先日大雪が降りましたけれど、私道なので、除雪は大学がやらなきゃいけなかったんですよ」

「それはたいへんですね」

「この場所にはもともと陸軍の技術研究所があったのです」

「するとこの大学は、その跡地に建てられたのですか?」

「そうです。で、あの長い直線道路は、有事のときに滑走路になるようにと計画されていたようです」

「なるほど。その名残ですか」

午後6時に始まった講演会は、午後8時過ぎに終わった。

久しぶりに学生さんたちの前で喋り倒した。

さて、私が訪れたその大学というのは…。

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コメント

 鬼瓦大が2018年1月に実施した一般入試の問題について、「条件が不足しており、解答不能ではないか」などの指摘が出ていることがわかった。

 出題ミスの可能性を指摘しているのは、大雪都凍付区の予備校講師・こぶぎさん。

 こぶぎさんは今月26日に鬼瓦大にコメントを送り、新春講演会に関する問題の疑問点を示した。移動するバスから出た人が、正門に行き着く条件を求めさせる問いについて、「バス停の正式名称と降りた人の位置関係、「陸軍」と刻まれた境界石の性質など、解答を決めるための条件が不足している。受験生全員を正解にすべきだ」と話す。27日には中務省も調査を求める宣旨を発給する模様だ。

 この問題は、大手予備校がインターネット上で公開している解答速報や、過去問題集でも解答が割れている。

 日本古代と東アジアに詳しい高校教諭によれば、「大学付近のバス停は複数あり、問題の設定が複雑なのに条件が厳密ではなく、何が正解かわからない。場所あてクイズファンが解く入試問題として不適当だ」と話す。

 本紙の取材に対し、鬼瓦大は「講演依頼先のお知らせホームページを読めば正解は明らかだが、詳しい内容は答えられない」としている。

投稿: こぶぎ新聞 | 2018年1月26日 (金) 09時10分

鬼瓦大は、27日、入試問題の出題ミスに関する謝罪会見を開いた。

大雪都凍付区の予備校講師・こぶぎさんの指摘を受けて、バス停の正式名称が『○○大正門前』ではなく『○○大正門』であること、バス停のある場所から北東方向へ延びる直線道路を歩いたところに正門があること、などを認めた。

そのうえで、「出題者が最近勤務過多のため、出題の文章を吟味しなかったことが原因」であるとして、「今後このようなことのないように、問題文については慎重な作成を心がけたい」と謝罪した。

投稿: onigawaragonzou | 2018年1月27日 (土) 01時16分

「受験生の会話」

(ガクッ)やっぱ出題ミスだって。

ゲー、しかもどこかと違って、潔く間違いを認めてたし。

大体さー、駅はあるのに大学はないのが間違いのもとだよねー。

(ガクッ)きっとみんなの心の中にあるのかな。

投稿: こぶぎ予備校にて | 2018年1月27日 (土) 09時19分

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