3分の前説と5時間半の立ち仕事
「2月10日、空いてるか?」
「3連休の初日ですね。何です?」
「この日、うちの職場でイベントをやるやろ」
「はあ」
お客さんを200人ほど集めて、映画を見せるイベントである。
「そのときに、3分間だけ、前説をしてほしいんよ」
「はあ」
と、上司に軽々と依頼されたのだが、2月10日は、自宅の引っ越しの次の日である。
しかも、引っ越した新居から職場までは、片道2時間以上はかかるのである。
休みの日に、2時間以上かけて職場に行って、3分だけ人前で喋って帰ってくる。
なんとコスパの悪い仕事だろう!
しかし仕事なので仕方がない。
この仕事、上司に気軽に声をかけられただけの仕事なのだが、ちゃんと、勤務ということで認識してくれるんだろうな!
どうもうちの職場は、そのあたりがいい加減である。
翌日の11日は移動日。新幹線と在来線を乗り継いで3時間以上かかる町に行った。
そして3連休の最終日12日は、朝からその町で会議である。
気を使わなければならない方たちもたくさんいて、気疲ればかりして1日が終わった。深夜に帰宅。
2月13日(火)
午前中、職場で一仕事終えたあと、廊下で上司にすれ違った。
「今日の1時から、頼むわ」
「はあ、…なんでしたっけ?」
「立ち会いだよ」
「あ、そうでした!」
そうだった!今日は午後から、「工事を見守る仕事」があるんだった。
うちの職場の一部が、いま、改装中である。
いわばリフォームをしているのだが、リフォームをしている一画が、工事現場みたいになっているのである。
今日の午後に行われるのは、「6メートルもある長い柱を、いまある場所から数メートル離れた場所に据え直すために、養生をして移動させる」という作業である。
なんということのない作業のようにも聞こえるが、その長い柱というのは、決して頑丈な柱、というわけではない。
しかも、その柱を、いっさい傷つけることなく、いま据えられている場所から、別の場所に移すのである。
そうねえ。たとえば「諏訪の御柱祭」みたいなことをする、と思えばよい。
で、私の仕事は、その作業を、じっと見守ることである。
午後1時。すぐに終わるだろうと高をくくって現場に行った。
しかし作業は意外に難航した。
鳶職のベテランが数人がかりでも、柱を動かすのに難儀している。
私は、ただそれを立ったままじっと見守る仕事である。
工事現場は寒いし、座る場所はないしで、ずっと立ちっぱなしのまんま、それを見続けなければならない。
最初は、「プロジェクトX」とか「情熱大陸」みたいな、鳶職たちの意地と技術で不可能と思われた柱の移動を見事に成し遂げる、という姿を想像していた。
しかし見ているうちに、
「なんかグダグダだなあ」
かなり試行錯誤している様子がわかる。
1本の古い柱を、もとあった場所から取り外し、無傷のまま数メートル動かすのに、5時間半かかった。
気がついたら6時半である。
5時間半も立ちっぱなしだったのか!
体はすっかり冷え切り、腰はカチカチになってしまった。
もともと決して体調がよいわけでなく、疲労困憊である。
しかし仕事なので仕方がない。
日々、こんな仕事ぶりである。
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コメント
ただいま前乗りの前乗り中。
効率いいんだか、悪いんだか。
投稿: 旅の空こぶぎ | 2018年2月14日 (水) 08時26分