あの温度の音楽
星野源は、メジャーになりすぎた。
本来は、暗くて屈折した歌を作るのが、彼の真骨頂である。
「くせのうた」を初めて聴いたとき、不意打ちをくらったように、泣かされた。
病室で痛みに苦しみながら「地獄でなぜ悪い」を聴いたときも、これは今の俺を歌った歌だと、涙した。
前に書いたように、星野源は細野晴臣の影響を受けたという。
星野源のライブでは、YMOの「Fire Cracker」と「Mad Pierrot」をカバーするんだぜ。どちらもホソノさんにゆかりのある曲である。
「Fire Cracker」はともかく、「Mad Pierrot」を選曲するなんざ、シブいね。
星野源の曲調は、ホソノさんのそれとはまったく異なるのだが、なんというか、雰囲気は、ホソノさんの音楽を彷彿とさせる。ホソノさんの曲を聴いたときの、あの感覚が、よみがえるのだ。聴後感、といったらよいか。
考えてみれば、若いころのホソノさんとか、成熟した清志郎といった、「あの温度の音楽」をリアルタイムで聴く機会が、すっかりなくなってしまった。
僕(ら)は、「あの温度の音楽」に、飢えていたのだ。
ひょっとしたら、星野源を聴くことで、「あの温度の音楽」を聴いたときの聴後感に浸ることができるかもしれない。
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