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引きの強い一家

出産の翌日には、個室から3人部屋に移される。

この3人部屋の病室が、実に狭い。わずかにカーテンで仕切られてはいるが、カニ歩きをしないと中には入れないような狭さである。

もっとも、病人ではないのだから病室というのは適切ではない。

部屋に入ることができるのは、一親等、すなわち、夫か、夫妻の両親だけである。

兄弟や甥姪などは、部屋に入ることができず、新生児を見るためには、いったん新生児を3人部屋から新生児室に移したうえで、ガラス越しに見るという方法をとる。

水曜日(28日)の夕方、仕事終わりに、愚妹が病院に訪れた。水曜日は定時退勤日ということらしい。

愚妹が廊下に立って、ガラス越しに新生児を見ていると、廊下を通りかかった若い男性が、

「あれ?」

と言った。

「おや」

「これはどうも」

「どうもどうも」

「こんなところで」

「これまたどういうわけで」

「子どもが生まれまして」

横にいた私には、なんのこっちゃわからない。

聞いてみると、その若い男性というのは、愚妹と同じ会社で、某支店時代の直属の部下にあたるというのだ。

愚妹に、仕事のイロハを教わったのだという。

この若い男性も、水曜日の定時退勤日ということで、ほぼ同じ時間に病院にやってきて、生まれたばかりの我が子を見に来たのである。

狭い町ならいざ知らず、この広い大都会で、たまたま同じ会社の同じ部署にいた部下と、産婦人科の病棟でばったり会うなんてこと、あるか?

母も私も、引きの強い人間だと自負はしていたが、まさか愚妹までそうだったとは…。

「ではまた」

といって、その愚妹の部下は、僕たちの部屋に入っていった。

…おいおい!同じ部屋かい!!!

なんと愚妹の部下も、僕らと同じ3人部屋だったのだ。

世間は狭いというべきか、悪いことはできないというべきか。

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