風花(かざはな)
「帰ってきたウルトラマン 第16話 大怪鳥テロチルスの謎」は、およそ子ども向きとはいえない内容である。
内容が複雑すぎてとてもまとめられないのだが、劇中で、兄役の岸田森が、妹役の榊原るみを慰めるために語りかける場面がある。
「東北あたりでは、風花(かざはな)といってね。青空なのに雪がちらつくときがある。まるで、花びらのようにひらひらと舞うんだな。その風花を見ると、ああ、もう冬が来たんだな、と、そう思うんだ」
脚本は上原正三。台詞がとても美しい。岸田森の語りもすばらしく、それを受ける榊原るみの演技も実にすばらしいのだ。
ちょっとしびれるくらいな名場面なのである。
この場面だけでも、この回を見る価値がある。
しかし不思議なのは、兄が妹を慰めるつもりで言ったこの言葉には、どんな意味が込められているのかが、よくわからない。
兄はこの言葉で、妹をどう慰めようとしていたのか?妹にどんなことを感じてもらおうと思ったのか?
しかし、そんなことは関係ないのかも知れない。
岸田森に語らせれば、意味の深い言葉になり、説得力を持つのだ。
なにより、「風花」という言葉が、美しい。
上原正三は、その言葉をこそ、この場面に使いたかったのではないだろうか。
わかる人だけがわかればよろしい。
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コメント
実は前後編の回ですね。
もはや複雑すぎてあらすじがまとめられない。
恋愛要素(しかも男女併せて5人)を盛り込みドラマパートが長い。テロチルスも強いが如何せん番組の尺のせいか後半バタバタで消化不良。色々ぶっこんだ結果、「で、何?」となってしまったもっないない作品。
確かに岸田森のこのセリフは神ががってます。風花の引用がどんな意味で妹を慰めているのか不明ですが、兄の妹を思う優しさが岸田森の演技からにじみ出ています。
投稿: 江戸川 | 2018年4月29日 (日) 11時04分
雪に有毒ガスが混じっているという設定は、1954年の「死の灰」事件から連想したものかな、と思ったのですが、考えすぎですかね。
投稿: onigawaragonzou | 2018年4月30日 (月) 03時26分