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ひよこランド

5月30日(水)

近所で、「ひよこランド」というイベントがあるというので行くことにした。

何のことはない。近所の児童館の体育館みたいなスペースを開放して、0歳児から1歳児までの子どもを遊ばせる時間のことである。

午前10時からということだったが、10時半ごろに行くと、すでに多くの親子が遊んでいた。

すべて、「母親と赤ちゃん」である。

まあ、平日の午前中に父親が参加するという方がおかしいのかも知れないが、それにしても、母親ばかりというのも、ちょっと異様な光景である。

ちょっと物怖じしてしまったが、ここで引き下がってしまっては、世の中は変わらない。

数日前、「赤ちゃんはママがいいに決まっている」と発言した政治家がいたが、そのアナクロニズムな発言を聞いて以来、私の残りの育休の時間は、それがまったく根拠のないものであることを証明するためにすごそうと思ったのである。

しかし実際のところ、母親ばかりのところに父親がひとり参加するというのは、かなり勇気がいる。

(あの人、イクメンをアピールしたいのかしら)

(あら、案外別の目的で来ているのかも知れないわよ)

などと思われていそうで、被害妄想の誇大妄想でまたしても汗だくになる。

そんなわけだから、周りの母親たちも私のことを警戒するし、私も、周りと自然に話すことなどできない。

もちろん、父親が来ることは歓迎されてはいるのだが、実際には母親が育児をするという前提でさまざまなシステムが作られているので、結果的に、育児をする父親が排除されてしまうような雰囲気ができてしまう。

職場だけでなく、地域でも徐々に、そうした雰囲気が解消されていくことを願うばかりなのだが、どういうわけか与党政治家たちは、女性議員も含めて、そういう洗練された社会というのは、好みではないらしい。困ったものである。

「ではこれから、手遊びの時間で~す」

11時15分になった。ここからはレクリエーションの時間である。

保育士さんみたいな方が、前に出てきた。

「最初は体操で~す」

グーパーグーパー、と、手を握ったり閉じたりする体操をするのだが、生後2か月の娘には、まだ早いようである。

「次に、お弁当箱の歌を歌いましょう~」

私も子どものころに習った歌である。

「これっくらいの おべんとばこに

おにぎり おにぎり ちょいとつめて

きざみしょうがに ごましおふって

にんじんさん さくらんぼさん しいたけさん ごぼうさん

あなのあいた れんこんさん

すじのとおった ふき」

どうやらこれが公式の歌詞らしいのだが、私が子どものころは、「さくらんぼさん、しいたけさん」はなかったような気がするのだが…。

それに、「きざみしょうが」とか「すじのとおったふき」とかって、いまの親の世代にも通じるのかどうか、いささか疑問である。「きざみしょうが」って、桃屋の瓶詰めくらいにしかその名残をとどめていないのではないだろうか。

ましてや0歳児~1歳児には、まったく未知の世界であろう。

こんな手遊び歌もあった。

足首をつかんで『いち~り~』

ふくらはぎをつかんで『に~り~』

太ももをつかんで『さ~んり~』

最後にお尻わしゃわしゃーとくすぐりながら『しりしりしりしり~♪』

この歌は、ベビーマッサージを兼ねた歌でもあり、単純でわかりやすい。

だが問題は、歌詞の中に出てくる「一里」「二里」という距離の単位である。

これが距離の単位であるということを、いまの若い親御さんたちも、わからないのではないだろうか。

「四里」と「尻」をかけたダジャレが言いたいがための歌詞なのだろうが、ここでもう一つ問題になるのは、「三里」といいながら太ももをつかんでいることである。

三里とは、膝 (脛骨外上顆) より指を横にして3本分下の位置にあるツボのことで、松尾芭蕉の「おくのほそ道」にも、「三里に灸を据え」という表現が出てくる。

つまり「さ~んり~」といいながらつかむべき場所は、太ももではなく、膝から指3本分下の位置なのだ。

そうすることで初めて、この手遊び歌で「一里」「二里」「三里」「四里」を使う必然性が生じるわけである。

そんな屁理屈を考えながら、手遊び歌に合わせて娘の手足を動かしていると、それまで機嫌がよかった娘が突然泣き出した。

お腹がすいたらしい。

妻が慌ててその場で授乳をしたため、私はまた手持ちぶさたになった。

といって、他人の御子をジロジロと見るわけにもいかない。

そうこうしているうちに、手遊び歌のレクリエーションは終わってしまった。

「あとは自由時間です。時間になるまで自由に遊んでください」

お乳を飲み終わった娘は、そのまま寝てしまった。

「帰ろうか…」

「そうだね、帰ろう」

逃げるように児童館をあとにした。

あの場でいちばん社交的だったのは、母親である妻や父親である私ではなく、間違いなく娘であった。

だって、まわりのお友達に笑顔をふりまいていたもの。

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コメント

「おべんとうばこのうた」の歌詞について

http://kouyamayosiko.net/obentohbako.htm

ウィキペディア(脚注3をさくらんぼ、じゃなくて山椒)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%B9%E3%82%93%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%B0%E3%81%93%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%9F#cite_note-3

足三里は膝の指4本下(三里は三寸の意味)

http://www.jingluoxuewei.com/tunbutuibu/5.html

足三里-すべてのことに積極的になる第一保健穴

https://jungyong.com/2010/05/21/%EC%A1%B1%EC%82%BC%EB%A6%AC%E8%B6%B3%E4%B8%89%E9%87%8C-%EB%AA%A8%EB%93%A0-%EC%9D%BC%EC%97%90-%EC%A0%81%EA%B7%B9%EB%82%98%EC%84%9C%EB%8A%94-%EC%A0%9C%EC%9D%BC%EB%B3%B4%EA%B1%B4%ED%98%88/

足五里は太股の付け根あたり。足一里、足二里、足四里というツボはない。

http://www.jingluoxuewei.com/tunbutuibu/171.html

ちなみに足三里は、胃腸に効く「長寿穴」だそうです。

投稿: こぶぎ補足 | 2018年5月31日 (木) 03時54分

膝眼、足三里、湧泉、委中、アキレスけーん!

ちょっと、そこのお父さん、「いちり」と違う歌でマッサージしないで下さいネ。
あと、足三里の位置は、お父さんの指じゃなくて、赤ちゃんの指で4本分ですよ。

我が子をロング脚にする成長マッサージ!
https://youtu.be/zjOHfSsvtkI

给孩子治病,用手比用药更管用--下肢按摩穴位及手法
http://www.jingluoxuewei.com/tnam/644.html

投稿: こぶぎ韓医院 | 2018年5月31日 (木) 10時09分

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