映画の推薦コメントを依頼される
あるドキュメンタリー映画に、コメントを寄せてほしい、という依頼が来た。
若き新人映画監督の第一回作品なのだが、その監督とは、ある本の企画で知り合い、以前に書いた大林宣彦監督のインタビューでご一緒した方である。
「今度、この映画に関するホームページを立ち上げますので、ぜひ、コメントをひと言お願いしたいのです」
よく映画の公開時に、著名人がその映画について短い推薦コメントを寄せたりするでしょう。あんな感じのコメントである。
「僕は映画の専門家でもないし、なんの力にもなれませんよ」
「そんなことはありません。ぜひお願いします」
と言われ、引き受けることにした。
アジア・太平洋戦争中に、ある南の島に配属された一人の兵士が、空襲と飢えにおびえながら、死の直前まで日記を書き残した。その日記は戦後、息子の手に渡った。戦後70年たって、息子はその日記を携えて、父が最後を迎えた南の島を訪れた。このドキュメンタリー映画は、息子が父の戦場を訪れる旅に密着したものである。
映画は完成したのだが、なにしろ無名の新人監督ということもあり、なかなか公開先が見つからない。
そこで、来月の関連本の出版に合わせて、映画の宣伝キャンペーンを行うことになったのである。7月末には、下北沢にある「ビールが飲める本屋」で出版記念と映画の宣伝を兼ねたトークイベントをするそうである。
少しでも力になれればと、200字ほどの推薦コメントを書いてみたが、なにしろ映画のド素人なので、説得力があるのかどうかも、よくわからない。
できあがったホームページを見ると、大林宣彦監督を筆頭に、4人がコメントを寄せていて、そのうちの一人が僕である。
なんとも気恥ずかしいが、大林監督と同じページに、自分のコメントが載っているというのは、実に感慨深いものがある。
この映画が有名になって、一人でも多くの人に見てもらえれば、と思う。
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