新盆
7月31日(火)
お盆、といえば、ふつうは8月15日前後である。
これが東京だと1カ月早くて、7月15日前後。これを「東京盆」という。
私の実家がある地域はさらに珍しくて、8月1日がお盆である。
なんでも、むかしこの地域は養蚕農家が多く、養蚕の忙しい時期を避けて、8月1日をお盆にしたのだという。子どものころにそんな話を聞いた。
そんなふうに中途半端な時期にお盆があるので、ここ数年は、8月1日に実家に行くことはほとんどなかった。
だが今年は、父の新盆である。
つまり特別なお盆なので、本当は8月1日には実家にいなければいけないのだが、あいにく仕事が入ってしまい、前日の「迎え盆」のときに休暇をとって実家に行くことで、許してもらうことにした。
日中、母と二人でお墓参りに行く。
「暑いねえ」
とても長い時間はいられず、お花とお線香をお供えして、お墓をあとにした。
夕方、といってもまだ暑い時間帯だが、「お迎え」をする。
「暑いから玄関先でいいね」
むかしは、けっこう遠くまで「お迎え」にいったものだが、最近は、もっぱら玄関先である。
むかしから比べるとずいぶん簡素になったものだが、それでも、玄関先に提灯をつるし、仏壇には祭壇を作って、なすやきゅうりに割り箸をさして馬の形にしたりするなど、ひととおりのことはする。母はそういうところが律儀だ。
「ほかの家では、もうあまりやってないみたいよ」
そういえば、この界隈では最近、父も含めて何人かの方が亡くなっているのだが、玄関に提灯を吊している家はほかになかった。
むかしはもうちょっと、今日はお盆のお迎えの日だな、という雰囲気がこの界隈にあったんだけど、それがだんだんなくなっていて、少しさびしい。
もっとも、実家にあまり帰らない僕が言えた義理ではないのだが。
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