スベリヒユ
先日出版した本。
この本は、戦争中に南の島で餓死したある日本兵が書き残した日記にまつわる本なのだが、その日記の中で、島に食べるものがなく、「赤草」を食べたという記述が頻繁に出てくる。
この「赤草」は、スベリヒユのことなのだそうだ。
スベリヒユ、といっても、最初、僕には何のことかわからなかった。
さらに聞いてみると、このスベリヒユは、僕の「前の勤務地」「前の前の勤務地」の県で、いまでも食べているというのだ。
僕はその県に14年住んでいたが、スベリヒユを食べた記憶がない。
つい先日、「前の勤務地」に住む知り合いのSNSに、スベリヒユの写真がアップされていた。
「自宅の畑でとれたスベリヒユです。からし醤油と和えていただきました」
とあった。
なるほど、これがスベリヒユか。赤草の言葉どおり、茎が赤い。
写真を見ても、これを食べた記憶があるかどうか、わからない。
たまたまその翌日、仕事で「前の前の職場」に訪れたので、この県にずっと住んでいる方に聞いてみた。
「スベリヒユはいまでも食べますか?」
「スベリヒユ…。ああ、ひょうのことですね」
「ひょう?ひょうっていうんですか?」
「ええ。畑の雑草ですよ。乾燥させて保存食になります」
「そうですか」
「それで、正月に食べたりするんです」
「お正月にですか」
ここまで聞いても、僕がこのスベリヒユを食べたかどうか、まだ思い出せない。
自分で調理して食べた、なんてことはあり得ない。
もし食べたことがあるとすれば、飲み屋のつき出しとして出てきたものを食べることくらいしか思い浮かばないが、はたして飲み屋のつき出しに出てくるようなしろものだろうか。
スベリヒユがどんなものか、いちど食べてみたい。
そんな機会はあるだろうか。
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