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有楽町で会いましょう

8月21日(火)

職場での4時間半におよぶ打ち合わせが終わり、ヘトヘトになって電車に乗る。

向かった先は、有楽町である。

2015年3月に卒業したSさんから、数日前に連絡があった。「21日に、WさんとOさんの3人で集まるので、先生もぜひ来てください」と。

Oさんは東京在住だが、SさんとWさんは地元で働いている。おそらく夏休みをとって、上京したのだろう。

私は最近、飲み会というのがすっかり億劫になって、不要不急の飲み会にはなるべく出ないことにしているのだが、卒業生となると、話は別である。

せっかくの貴重な東京滞在のおりにわざわざ声をかけてくれるのだから、呼ばれることにしたのである。

しかし僕は、東京の地理にはからっきし疎い。

ふだん、都内ではまったくと言っていいほど飲みに行ったことがないので、都内に、どんなお店があるのかも、よく知らないのだ。行きつけの店なんてものもないし。

卒業生が予約してくれたお店をみると、有楽町のとあるビルの地下1階にある、イタリアン・フレンチふうの居酒屋であるという。

食べログで場所を確認してみると、

「JR有楽町駅日比谷口より徒歩1分」

と書いてある。

「JR有楽町駅の日比谷口」ということだけをたよりに、有楽町駅を降りる。

日比谷口はどこかなあと思って探していると、

「日比谷口は閉鎖中。ほかの改札口におまわりください」

と書いてある。

えええええぇぇぇっ!!!頼みの綱の日比谷口が封じられている!!!

こうなるともう、わからない。

有楽町駅には、いくつもの改札口があって、なんかもう、いつも迷うのだ。

とりあえず「銀座口」と書いてあるところから出てみる。

出てはみたものの…。

「私はいったい、どこにいるのでありましょうか?」

「月はどっちに出ている?」

の世界である。

とりあえず、グーグルマップで現在地と、現在地からの経路を調べてみるが、これもまた、よくわからない。

(ますます自分が今どこにいるのかわからなくなってきた…)

しばらくすると、グーグルマップが落ち着きを取り戻したようで、自分の現在地がだんだんわかってきた。

どうやら線路の反対側にいるらしい。

ガード下をくぐると、目の前に大きな建物がみえた。

ビックカメラだ!

たしか、ビックカメラの前の道路をはさんだ向かい側のビルが、フレンチ・イタリアン風の居酒屋の入っているビルだったはずだ。

横断歩道を渡り、ビルの入口を見つけて、地下1階に降りて、ようやく店を見つけた。

ここまでの所要時間。5分。

お店に入ると、すでに3人は集まっていて、久しぶりの再会に乾杯した。僕はソフトドリンクだったけど。

3人とも、ひとまず元気そうで本当によかった。

いろいろと話していると、携帯にメッセージが入った。

なんと、今度は2014年3月に卒業したAさんからである。いまAさんは、「前の勤務地」の隣県で働いていて、卒業以来、会っていない。

「来月、上京して先生の職場に遊びに行きたいと思いますが、ご都合はいかがでしょうか」

卒業生たちと久しぶりに再会している最中に、別の卒業生から久しぶりに連絡が来る。

たしか以前にも、そんなことがあった

卒業生が卒業生を呼ぶ、という、僕にとってはよくある不思議な体験である。

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