コラムとエッセイ
コラムニストの小田嶋隆さんが、コラムとエッセイの違いについて語っていた。
簡単に言えば、コラムは「対象に寄せて文章を書く」、エッセイは「自分に寄せて文章を書く」という違いがあるのだそうだ。
たとえば、「ラーメン」というテーマで文章を書くとする。
「ラーメンには、なんのためにメンマが入っているのか?」
とか、
「ラーメン屋の店主って、どうして写真に写るときに腕を組むのか?」
的な文章を書く場合は、これはコラムである。
「私と一緒にラーメンを食べた男たち」
的な文章を書く場合は、これはエッセイである。
だから、コラムとエッセイ、どっちが難しいかといえば、エッセイを書く方が難しいのだという。
なぜなら、エッセイは、自分のことを書くので、最終的にはどうしても、自慢話か、愚痴になってしまうからである。
ちょっと自慢話をしたり、愚痴を言ったりしてもなお、かわいげがあったり、人格の麗しさが漂うためには、人間ができてないといけない。
要するに、品格がないとエッセイは書けない、というのだ。
僕が言ってるんじゃないですよ。小田嶋さんがそう言ってるんだ。
小田嶋さん自身は、自分がエッセイを書くとイヤミったらしくなるので、自分はエッセイを書かず、コラムを書いているのだという。
では、名エッセイストとは誰か?
小田嶋さんは、さくらももこさんの名前をあげた。
さくらももこさんは、自分語りをしても、そのへんがまったくイヤミにならない。
「これはなかなかできるもんじゃありません。林真理子あたりがやると五月蠅いです」
と、例によって毒舌が炸裂するのだが、まあそれは置いといて。
そういえば思い出した。
20代後半のころ、将来がみえず、エッセイストにでもなるかなあと、いろいろな人のエッセイを読みまくったことがある。
その中で、ダントツに面白かったのは、さくらももこさんのエッセイだった。
それを読んで、
「こりゃあ、エッセイストになるのは、無理だな」
と、諦めたのであった。
ずいぶん前に読んだので、どんな話が書かれていたかはすっかり忘れてしまったが、面白かったことだけは、鮮明に覚えているのである。
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