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課題解決型授業

10月25日(木)~26日(金)

最近の大学では、「課題解決型授業」とか何とかいう形式の授業が、必須になっているらしい。僕がいたころはなかったのだが。

「前の職場」の元同僚のSさんから、「今年度から、課題解決型の授業をやらなければならなくなったので、ついては鬼瓦さんの職場でそういった形の授業ができないだろうか」という相談を、ずいぶん前に受けた。

在京での4日間の実習のうち、2日間ほどを、うちの職場を使って授業をしたいというのである。

その授業の主担当は、やはり元同僚のIさん。相談を持ちかけてきたSさんは副担当である。受講する学生は22名である。

もちろん「前の職場」には恩があるので、引き受けることにした。

さて、僕が企画した2日間の授業というのは、以下の通りである。

まず、1日目の午後にご一行が職場に到着する。

初日は、うちの職場の「裏側」を案内したり、期間限定で開いている「特別店」を解説付きで見てもらったり、ちょっとした座学をやったり。これらには、同僚の助けを借りる。

2日目が本番である。

うちの職場には、6つの常設店舗がある。そのうちの1つは、現在改装中なので、いまは実質5つの店舗が開いている。

学生22人を、5つの班に分けて、分担を決めて、1つの班が1つの常設店舗をじっくりと観察する。

観察に際して、僕がある「課題」を与える。ある視点から、5つの店舗を観察してほしい。観察に際しては、適宜店舗の写真を撮ってもらってかまわない。で、その観察の結果、どのようなことがわかったかとか、どのような点が問題であると考えられるか、といったことを、写真を使いながら、各班でまとめてもらう。

最後に、各班がみんなの前でプレゼンをして、意見交換をする。

10時半から14時半までが、店舗観察と発表準備の時間。14時半までは、時間を自由に使ってよい。

14時半から16時までの1時間半ほどが、発表時間。

「…これでどうでしょう?」

「いいですね。それでいきましょう」

Sさんとの間で話がまとまった。

Sさんとはこれまでいろいろな仕事をしてきているので、気心が知れているのだが、主担当のIさんが、僕の考えた企画をどう思うかがわからない。

副担当のSさんが主担当のIさんに諮ったところ、

「それでいいでしょう」

ということになった。

そうはいうものの、僕は不安だった。なにしろ、僕はかなりぼんやりとした「課題」を投げかけるのである。それに対して学生たちがその趣旨を理解して、「課題」に応えてくれるだろうか。

学生たちに「無駄な2日間だった」と思われたらどうしよう。

何より、この授業の主担当のIさんに、「こんなはずじゃなかった」と思われたらどうしよう。

これは、僕の授業ではなく、Iさんの授業なのだ。僕の授業ならば、失敗したら僕の責任になるが、この授業が失敗したら、Iさんに迷惑をかけてしまう。

まあそんなこんなで、かなり不安を抱えたまま、当日を迎えた。

初日は、職場の同僚たちにお手伝いいただいて、とくに問題なく終えた。

2日目。

朝10時に職場に集合してもらったが、学生たちは、どんな課題を出され、どんな形式で発表させられるのか、知らされていない。

僕が最初に、今日の「課題」について説明した。

「課題の趣旨は理解されましたか?」

学生たちがうなずいた。

「ではさっそく始めましょう」

各班は、それぞれの担当の常設店舗に散らばっていった。

(まことにぼんやりした「課題」を与えてしまったが、学生たちははたしてちゃんとその課題の趣旨を理解してくれただろうか…)

4時間後の午後2時半。

発表が始まった。

Photoどの班も、僕の出した「課題」の趣旨を把握し、写真を適切に用いながら、的確なプレゼンを行っていた。

よくこの短時間で、課題の趣旨を理解して、ここまでまとめられたものだ、と感心した。

僕の心配は、杞憂にすぎなかったのだ。

杞憂どころか、学生たちは、各班ともすげー熱心にプレゼンの準備をしていたばかりでなく、それを楽しんでいたのである。

だから各班のプレゼンも、かなり興味深いものとなった。

やっぱ学生の伸びしろってすげえんだな、と、あらためて思った。

1時間半ほどで、プレゼンは終了した。

なんとか形になった、と、ホッとした。

最後に、主担当のIさんが総評を述べられた。

「僕のふだんの演習では、学生ひとりひとりが発表するということはあっても、グループで何かをまとめて発表してもらうという形の演習は、したことがなかった。それは、僕自身がそういう指導をすることが苦手だったことにもよります。でも今日一日、こうしてグループ単位でプレゼンをする授業を体験してみて、なるほど、こうやってグループワークをすればいいのかと、自分自身がむしろ勉強になりました。ありがとう」

ポーカーフェイスのIさんから、少し笑みがこぼれた。

2日間のプログラムがすべて終わり、解散となった。

学生たちはひとりひとり、「ありがとうございました」と深々と僕に頭を下げて、研修室を出て行った。

今日一日は、決して無駄な時間ではなかったはずだ。何かを感じ取ってくれたなら、それで十分である。

「2日間、ありがとうございました」とIさん。

「いえいえ、こちらこそありがとうございました」

「また、実習をお願いするかも知れません」

「わかりました」

Iさんもまた、何かの手応えを得たのかも知れない、と、不遜ながらそんなことを思った。

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コメント

では、課題を発表します。

お店にはいろいろなお客様がいらっしゃいます。

これからグループごとに、次のようなお客様になったつもりで店内を廻って、そのお客様が見るであろう商品をカメラ撮影し、そのお客様の「視線」を記録してきて下さい。

その後で、商品陳列や店内設備、店員の接遇を含めて、店の問題点をスライドにまとめて発表して下さい。

では、次の中から「お客様」を選んで下さい。

・台本に行き詰まった映画監督
・お忍びデート中の芸能人カップル
・立川談志
・イスラム教徒の料理研究家
・ユーチューバーを始めた某国皇太子(国賓待遇)
・あらゆる歴史・民俗知識を知り尽くしたAIロボット「ひえだ君」
・生後6ヶ月の赤ちゃんと新米パパ


なお、グループ発表のやり方は以下の動画を参考にして下さい。できるだけボノボノを増やすとよいスライドになりますよ。

組別課題(KBSギャグコンサート)
https://youtu.be/2RMdh1j2yi4

投稿: 課題解決型コメント(こぶぎ) | 2018年10月27日 (土) 12時31分

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