ジュリーは談志だ!
まず最初に大前提として確認しておきますけれど、
「沢田研二こそが、史上最高の男性アイドルである」
ということ。これについては、異論を認めません。
なぜなら、以前、ラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」の「史上最高のアイドルは誰だ?評議会(男性編)」という企画で、ぶっちぎりで沢田研二が史上最高の男性アイドルと認められたからである!
このラジオの中で、僕と同世代のコンバットRECさんが、
「僕が初めて買った音楽アルバムは、小学生のときに買った沢田研二の『思いきり気障な人生』だった」
と言っていたが、これを聞いて僕はビックリした。
なぜなら僕も、小学生のときに生まれて初めて買った音楽アルバムが、「思いきり気障な人生」だったからである!
なんという偶然の一致!!!
…というか、コンバットRECって、誰?
つまり「思いきり気障な人生」を買うというのは、当時の小学生男子にとっての「あるあるネタ」だったのである!
当時の小学生男子にとって、沢田研二がいかにすごい存在だったか。それは、映画「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」のエンディングテーマが、沢田研二の「ヤマトより愛をこめて」だったことからもわかる。
あるいはこれは、子どもと一緒に映画を見に来た親の世代へのサービスだったのかも知れないが、当時、このエンディングテーマが、小学生男子たちの心をどれだけ鷲掴みにしたことか!
コンバットRECさんや僕が、「思いきり気障な人生」を買ってしまったのも無理はない。
…だから、コンバットRECって、誰っ!!??
さて、沢田研二の「さいたまスーパーアリーナドタキャン事件」。
9000人収容のさいたまスーパーアリーナで、7000人分のチケットしか売れなかったので、急遽コンサートを中止したという事件のことですよ。
テレビのワイドショーでは大騒ぎしていたようだが、
「沢田研二は、立川談志である」
と考えれば、べつに驚くことではない。
落語家の立川談志は、よく知られるように、気分が乗らないと高座をドタキャンしたり、客席で居眠りをしている客を見つけると、
「おまえ、帰れ!」
と言ったり、まあわがままなことばかりやっていた。
それとおんなじじゃね?
沢田研二も、談志と同じ、プライドの高い、偏屈な人間なのだ。
そういえば、たしか立川談志は、
「人間は、カネで動くか、プライドで動くかの、どちらかだ」
という意味のことを、よく言っていた。
たいていの場合は、この法則にあてはまると思う。
人間は、プライドを捨ててカネに生きるか、カネを捨ててプライドに生きるかの、どちらかなのだ。
もちろん、カネもプライドもほしい人はいるし、カネもプライドもいらないという人もいるだろうが、まあ、たいていの場合、人間を突き動かす原動力となるのは、カネかプライドかのどちらかなのである。
僕自身についていえば、どちらかといえばプライドで動く人間である。
でなければ、いまみたいな仕事はしていない。
理屈のうえでは、できるだけプライドを捨てて生きよう、と思ってはいる。仕事なんかでも、こっちが悪くないのに謝ったりするし、自分の主義を曲げて他人の意見に従うことだってある。
だが、本音のところでは、プライドが高い。
「なんでアイツのつまらねえ本が、俺の本よりも売れてるんだ?」
みたいなことを、年中考えたりしている。
もちろん、「他人と比較したって何の意味もない。自分が満足することをやればいいのだ」という忠告は、いつもありがたく受けとめている。
しかし、
「志ん朝と俺の二人会をするんだったら、俺のギャラを志ん朝よりも100円高くしてくれ」
と言った談志の気持ちも、なんとなくわかるし、
沢田研二が「7000人しか集まらなかったからコンサートはやらない」
と言った気持ちも、なんとなくわかるのだ。
もっとも僕は、お客さんが2人しかいないところで講演をしたことがあるけどね。
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